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信じて、ぼくの言葉 重い障害の少年が伝えたかったこと2012年10月04日 08時05分48秒

ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
 朝日新聞に載っていた記事。
 思わず、涙がこぼれた。
 デジタル版は、会員じゃないと全文は読めないけど。

http://digital.asahi.com/articles/TKY201210020466.html
信じて、ぼくの言葉 重い障害の少年が伝えたかったこと
--- ここから ---
障害が重いために言葉を理解できないと考えられてきた人々も、実は言葉の世
界を持っている。それを社会に伝えたいと願った少年が、志半ばの16歳で亡
くなった。かすかな体の動きを拾う特別のスイッチで入力された文章が残され
た。「せっかくいろいろなこどもたちが ことばをつかっているのに しんじ
て」。彼の文はそう訴えかける。
--- ここまで ---

 その少年は、東京都の臼田輝(ひかる)さん。
 1歳の誕生日直前に事故に遭い、寝たきりになったという。
 その後、文字入力ソフトとスイッチで、彼は自分の言葉で表現ができるよう
になる。
--- ここから ---
 母の真左子さん(53)も驚いた。息子の目が、母親たちの井戸端会議を聞
きながら輝く瞬間があると感じていた。言葉がわかっているに違いないと思っ
てはいた。でも、「こんな世界を持っていたとは」。
--- ここまで ---

 静かに深く、ひたひたと迫ってくる彼の言葉からは、彼が、清澄で豊かな言
語空間を内面に構築していたことがわかる。
 その鋭い言語感覚に周囲が驚いていると、
--- ここから ---
〈けっしてなにもするわけでもなく ただじっと ことばだけをつかっていき
てきた しかも いちどもそのことばを だれにもはなさずに いきてきたの
で のんふぃくしょんのどらまのようなせかいを すごしてきた どらまより
も すさまじいたいけんをしてきた だから ことばがとぎすまされてくるの
は あたりまえのことなのです〉
--- ここまで ---

 人間の能力の凄みを感じる。
 記事のタイトル
「信じて、ぼくの言葉 重い障害の少年が伝えたかったこと」
にある「信じて、ぼくの言葉」は、彼の言葉は、彼が自分で表現しているもの
ではなく、大人が、スイッチをこっそり操作しているのではないかという疑惑
に対して、脳天唐竹割り、かつ、真空飛び膝蹴りで反論するもの。

 最後に、彼は、自分の言葉を本として出版してほしいと願った。
--- ここから ---
〈このぶんしょうをてがみにして ほんをだしているかいしゃに おくっても
らえませんか はっぴょうしたいですが なんとかなりませんか〉
--- ここまで ---

--- ここから ---
 真左子さんはこの7月、大東文化大学で教育学を学ぶ大学生を前に語った。

 「息子が幸せだったのは文章を残せたことより、重い障害があっても、一人
の人間として向き合って下さった方々がいたこと。子どもの前に立つ皆さん、
その子の目の輝く瞬間を、どうか見逃さないでください」

 本は「輝 いのちの言葉」。千円。問い合わせは愛育養護学校の「輝編集委
員会」(03・3473・8319)。(編集委員・氏岡真弓)
--- ここまで ---

 臼田輝(ひかる)さんが通った愛育養護学校のウェブには、いま、朝日の記
事と、彼が残した本「輝 いのちの言葉」のことが出ていますね。
http://www.aiiku-gakuen.ac.jp/
愛育養護学校

 うちの息子は、ダウン症で知的障碍があって、ずっと言葉が出なかったが、
障碍児教育の言語の先生からは、声かけが大事だといわれていて、妻は、息子
が生まれて間もない頃から、ずっと声かけをしていた。
 心臓の壁がないほか心臓が大変な状態で、手術ができる3歳までは、突然、
チアノーゼがひどくなれば、いつ死んでもおかしくない状況ではあったが、妻
は、ずっと声かけを続けていた。
 あれには、ほんとに頭が下がるし、感謝してもしきれない。息子も感謝して
いるだろう。なぜなら、あれがあったからこそ、息子の言語能力は、育ったと
思えるからだ。
 声かけといっても、わざわざ物語を聞かせるといったものではなく、
「ああ、今日は、天気がいいね」
「晩ご飯は、何にしようか」
「ほら。これがスイカ。大きいでしょ。切ったら、ほら、中は真っ赤よ。食べ
ると甘いよ」
など、ほとんど独り言を話しかけているようなもの。
 もちろん、息子が理解できているかどうかもわからない。
 でも、それを続けたおかげで、息子が、つっかえつっかえながら、言葉を発
するようになったとき、我々の想像をはるかに超える大きな世界を、心の中に
築き上げているのに、我々、親はもちろん、先生方も驚かされた。
 息子は、おれが、だじゃれを連発していたのも、ちゃんと血肉にしていた。
 以前、紹介したが、息子のギャグ、
「お前、何人?」
「お、おれ? おれ、有名人」

「きさま、何者だ」
「お、おれ? おれ、人気者」
には、ほんとに驚かされ、爆笑した。
 ほかにも、小学校の遠足に行ったとき、同行してくださった校長先生に、
「おじいさんとパンダ」という創作童話を、即興で作って話し続けたのも、そ
う。
 その辺の話は、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2012/04/23/6422764
ことばをつくる―言語習得の認知言語学的アプローチほか、子供と言語関連
を参照。

コメント

_ FAT'N ― 2012年10月04日 09時05分02秒

涙が出てきました。佳い話を教えていただき、ありがとうございました。

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人間の生命は、両親から一本ずつ染色体を受け継ぎ誕生しますが、染色体が三本に

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