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野崎昭弘著「離散数学「数え上げ理論」 (ブルーバックス)」2008年12月14日 22時48分16秒

ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/11/27/3977032
ブルーバックスの気になる新刊と、CD/DVD付き書籍
で名前を出した
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062576198/showshotcorne-22/
離散数学「数え上げ理論」 (ブルーバックス) (単行本)
野崎 昭弘 (著)
 目次は
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=257619
をどうぞ。
 実際に手を動かして、問題を解きながらやってるから、まだ、第3章ですが、
これは、いいですね。
 第1章冒頭に、おみやげの配り方の例題がある。ちょっと引用。
例題1-1
 イギリスで買った、種類が違う紅茶の缶が4つある。これを4人の友人に1
つずつ分けたい。何通りの分け方があるか?
例題1-2
 フランスで買った、同じフォアグラの缶が4つある。これを6人の友人の誰
かに1つずつ分けたい。何通りの分け方があるか?

 離散数学なら任せろとかいって、問題解いた。この2つは楽勝だった。調子
に乗って、

例題1-3
 イタリアで買った、柄の違うスカーフが6枚ある。これを全部、4人の友人
に分けたいが、何通りの分け方があるか? ただし、不公平になるのは仕方な
いが、誰にも少なくとも1枚はあげるとする。

をやったら、もう間違えた。\(^O^)/
 なお、答はすぐには書いてない。ひとつひとつ考え方を丁寧に説明してある。
それも実際に手を動かして樹形図を書くことから始めている。
 身体性(エンボディメント)の重要さね。体の記憶は脳の記憶と違って、覚え
にくいけど忘れにくい。
 これらの例題から、確率を計算するバリエーションもある。
 確率や統計って、結局、いかに正確に、重複なく、漏れなく数え上げるかが
基本。だから、確率や統計が苦手な人にも、この本はお薦め。

 おれ、間違った問題で、悔しかったのが、64ページにある応用2。
応用2
 プロ野球の日本シリーズ(先に4勝した方が優勝する)で、あるチームが4勝
3敗で優勝するときの、勝ち負けの順序は何通り?

 76ページには、パスカルの錯覚系、もとい、三角形が出てくる。
 これ、17世紀のパスカルが考えたんじゃないのね。もっと昔から知られて
いたようで、アラビアでも中国でも13世紀には知られていたらしいのね。中
国では、朱世傑の「四元玉鑑」(1303)に載っているそうな。誰が発見したか定
かではないけど、今となっては「朱世傑の三角形」といってもわかってもらえ
ないので、本書でも俗称「パスカルの三角形」を使うと書いてある。
 朱世傑の名前は、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/11/15/3928331
文藝春秋2008年12月号の本の特集
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/11/26/3975854
数学的思考法は、そんなお勉強じゃ身に付かないってば
で紹介した
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000268732/showshotcorne-22/
1冊でわかる数学 (1冊でわかる) (単行本)
ティモシー ガウアーズ (著), Timothy Gowers (原著), 青木 薫 (翻訳), 上
野 健爾
で、解説の上野健爾さんが数学の歴史の解説を書いているが、その中で知った。
 そこには、示唆的な話も書いてあった。
 中国の数学は、常に実用性を重んじたものだった。そのせいで、一時は、方
程式論など中国の数学は大発展したのに、数学が直接、すぐ応用に結びつかな
いと忘れ去られるそうな。目先の利益優先だから、抽象的な理論が忘れられて
発展しないわけ。
 ヨーロッパの数学は、逆に、すぐ役には立たない抽象的な理論も捨てなかっ
たので、後に大きな発展をする。それで、中国は、ヨーロッパに地位を奪われ
てしまったと。
 後述の話とからめれば、基本に戻らず、目先の利益を求めて、安直ビジネス
本、成功本、自己啓発本を読みあさって、結局だめになるのと同じですね。

 ところで、パスカルの三角形は、京都の道順を調べる例題から出てくる。知
らないとびっくりする展開ですね。
 なぜ、京都の道順からパスカルの三脚気、もとい、三角形が出てくるか、ピ
ンと来た人は、本書は不要。自分の楽しみ、確認のために読むのはいいだろう
けど。
 ということで、コンノケンイチ風にいうなら、
「パスカルは、京都に住んでいた」\(^O^)/
 ばかー。そんな重要な人類史の秘密を、こんなところに書くな。いくら情報
省の人間が書いたこととはいえ、バチカンからお叱りを受けるぞ。
 じゃ、これ、バチカンの「ファティマの予言」にならって、「情報省の予言」
として、「地球の秘密冷蔵庫」に入れておきますね。賞味期限はいつにしてお
きましょうか?
 いつでもいいよ。どうせ、売れ残ったら、シール偽装して張り替えちゃうか
ら。\(^O^)/

 本書のあとがきから引用。
--- ここから ---
 最近の世の中で心配なのは、(略)たとえば試験のとき、じっくり考えて答を
出すより、答を覚えてしまったほうがラクだとか、政治や経済の問題でも、む
ずかしく考えずに気分で決めてしまったほうがラクだ、と思う人が多いような
気がする。
 しかし日本が今、経済的な繁栄を享受しているのは、ラクなどまるでできな
かった世代の、たいへんな労力のおかげなのである。
(略: 中村注:ここで、「考える」ことを止めたときの悲劇に言及)
 怪しげな新興宗教や悪徳セールスに手もなくひっかかる人たちを見ていると、
もう少し「考える」習慣を広めたほうがよさそうである。それには、「考える」
ことの楽しさを伝え、「わかる」ことのうれしさを体験してもらうのが一番で
あろう。――「数え上げ理論」の解説を書きながら、私がいつも考えていたの
は、そのようなことであった。
--- ここまで ---

 この本と対照的な世界が、勝間和代、神田昌典などビジネス本のカリスマと
されている連中の書く安直ビジネス本、成功本、自己啓発本。おれにいわせれ
ば、この手の本やセミナーは、怪しげな新興宗教や悪徳セールスと五十歩百歩。
 安直ビジネス本、成功本、自己啓発本が売れるメカニズムの一端は、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/11/26/3975854
数学的思考法は、そんなお勉強じゃ身に付かないってば
などで、書いた。あの手の本は、安直ダイエットと同じ。
 フェルミ推定で地頭力をつけろうという本が今年売れたけど、今年の流行ダ
イエットでいえば、バナナが店頭からなくなった「朝バナナダイエット」と同
じ。
 しかも、フェルミ推定が、グーグルやマイクロソフトの入社試験に出るとい
うので、流行っちゃう。知のかけらもない、このばかばかしさね。「考える」
ことを放棄した奴が、それだけ多いのか。
 基礎的な数学力がないのに、フェルミ推定なんてつまみ食いしても、砂上の
楼閣であることに気づかないというのが、すごい。女はダイエット、男は安直
ビジネス本に引っかかる。何度も何度も引っかかる。おれおれ詐欺、振り込み
詐欺にそっくりね。上記で、書いたように、
「身に付いたと思うのは、錯覚。シャブを打って幻覚をみているのと同じ」な
のにね。
 あの手の安直ビジネス本は、100冊読んでも1000冊読んでもだめ。基礎に戻
るしかないのに、その勇気もなく、その労力を惜しむ。惜しんで結局、金と時
間と労力と無駄にする。
 安直ビジネス本、成功本、自己啓発本、ああいうのを読むのを止めるのから
始めないとね。

 関連して、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/08/04/3672178
Googleの入社試験
で書いた
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198625611/showshotcorne-22/
[非公認] Googleの入社試験 (単行本(ソフトカバー))
竹内 薫 (編集)
 買わなかったけど、立ち読みはした。
 ざっと眺めただけでわかったこと。これ、ものすごく数学力を要求される。
おれは、この試験だと絶対入社できない(爆)。
 ほんとにこれだけで採用の可否を決めているなら、入社試験対策と称して基
礎的数学力もないのに、付け焼き刃でマニュアル的にフェルミ推定なんてつま
み食いしてなんとかなると思ってる奴は、その時点で採用されないよ。
 ああいう連中は、この入社試験、真面目に解こうと思ったことある? ほぼ
100%、そんな連中は1問も解けないと断言できる。
 さらに嗤うのが、この入社試験を単にマニュアル的に採用しようという人事
担当者がいるらしいのね。そんな安易なことしか思いつかないような会社が、
グーグルやマイクロソフトになれるわけがない。
 だめ奴は、だめなほう、だめなものを好き好んで選ぶんだもんね。そういう
奴がいっぱいいるから、カモにする出版屋やセミナー屋が儲かる儲かるもうカ
ルダモンね。スパイス効いて、いい味出してます。
 ほんと、世の中、よくできてるね。

2011/07/17 追記:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2011/06/12/5908815
情報科学入門―Rubyを使って学ぶ
に、パズルのような入社問題が役に立たないことを書いています。

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Re: 中国、ITソースコード強

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http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/05/27/1537626
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 折り紙と数学の本はいろいろありますね。
 時間がないので

_ ホットコーナーの舞台裏 - 2011年07月15日 05時07分45秒

ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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 先月から今月にかけて、これまで紹介した数学の本が、あれこれ売

_ ホットコーナーの舞台裏 - 2011年09月29日 03時09分14秒

ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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 リンクのみで失礼。
 数学が苦手な人。文系ビジネスパーソン。と

_ ホットコーナーの舞台裏 - 2011年12月20日 10時20分35秒

ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2011/09/29/6117268
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ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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 お買い上げありがとうございます。
 同じ人の大人買いなのかなあ。わからんけど。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4274130053/showshotc

_ ホットコーナー - 2018年06月01日 07時08分02秒

ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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 気づいてなかった。徳田先生が、ブルーバックスに登場。\(^O^)/
 離散数学は、コンピュータをやるなら、特にソフトウェア、プロ