野口悠紀雄のトンデモIT論その2 ― 2007年12月18日 09時30分19秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
少し書く余裕があるので、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/11/28/2462155
野口悠紀雄のトンデモIT論
の続き。
今回関係ある部分は実はすでに
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/05/2472579
プログラミング言語の人気ランキング
で書いた部分があるので、追加で書けばいいから、負担が少ないというわけ。
まず、野口悠紀雄が書いた「21世紀のゴールドラッシュ第57回」
http://www.noguchi.co.jp/archive/goldrush/gr_057.php
反マイクロソフトの盟主サンマイクロ
を読んでほしい。
我々の知っている歴史と現在とはまったく違う嘘が書いてある(実はこの回
には、もう1つ、我々の知っている歴史とはまったく違う嘘につながることが
書いてあるが、それが何かは宿題。でも、いつ書くかわかりません。すみませ
ん)。
野口悠紀雄は、こう書いている。
「しかし、実際には、ジャバはそれほど普及しなかったのである」
最近、ASAHIネットのtti/salon(筒井康隆会議室)で、往年の多元世界SFの傑
作であるフレデリック・ブラウンの「発狂した宇宙」の話題が出た。この文庫
本解説を筒井さんが書いているのだ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150102228/showshotcorne-22/
フレドリック・ブラウン著, 稲葉明雄訳「発狂した宇宙 (ハヤカワ文庫 SF
(222))」
懐かしくなって買ってきて読んだ。最初はこんな始まりだったかなあと思っ
たが、「アルクトゥールス人」という言葉が出てきて、ぱあっと一気に思い出
した。この話、我々の住む宇宙と似ているところは多いが、まるっきり違って
いるところも多々ある別の宇宙に放り込まれた男の奮闘記だ。
そして、野口悠紀雄の書く
「しかし、実際には、ジャバはそれほど普及しなかったのである」
という一文を読むと、自分が「発狂した宇宙」の主人公になった気分にさせら
れる。なぜなら、我々の宇宙では、Javaは大いに普及しているからだ。
これが10年前の1997年時点での記述なら納得できる。当時は、Javaが出て数
年。危機感を抱いたMS(マイクロソフト)が、Javaの分断を図って普及を阻止し
ようとしていたころだったからだ。
しかし、野口悠紀雄が上の一文を書いたのは、おそらく2005年、早くても
2004年か2003年だろう。というのは、週刊新潮の連載「21世紀のゴールドラッ
シュ」をまとめた
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4104329053/showshotcorne-22/
野口悠紀雄著「ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル」
の出版が、amazonのデータでは2005/09/21になっているからだ。
2005年、百歩譲って2004年、二百歩譲って2003年にJavaがそれほど普及して
いなかったなどと、どうして書けるのか。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/05/2472579
プログラミング言語の人気ランキング
で話題にした
http://www.tiobe.com/index.htm?tiobe_index
TIOBE Programming Community Index
で、Javaはほとんどずっと1位。
http://www.tiobe.com/tiobe_index/Java.html
をみると、2004年10月に2位になっているし、グラフからするとその前後も2
位だった可能性もあるが、まあ、フツーに考えて、ここが2001年からランキン
グをやり始めてほとんどずっと1位。
しばしば書くが、本屋の棚でも、単独のプログラミング言語としては最も多
くの棚を占めている。
そして、実際の開発の現場でも、おれの知る限り、2000年くらいからはサー
バ側の案件はJavaベースが多くなった。特にエンタープライズ系の案件、大手
SI(システム構築)業者が手がける案件はJava一色になった。
さらにいえば、野口悠紀雄は、携帯電話にもJavaが入っていることを知らな
いのか。家電やら組み込み系にもJavaが入ってたりするんだよね。全世界で何
10億台という規模でJavaは動いている。
それを
「しかし、実際には、ジャバはそれほど普及しなかったのである」
と書く。不思議でしょう。「発狂した宇宙」に放り込まれた気分になるという
のも、ご理解いただけたでしょうか。
野口悠紀雄は、書いているものを読む限り、現場に出て行く学者ではない。
書斎派だ。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/02/09/1173221
ヤバい経済学と相撲の八百長
で紹介した
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313656/showshotcorne-22/
スティーヴン・レヴィット, スティーヴン・ダブナー著, 望月衛訳「ヤバい経
済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する」
いまは、増補改訂版が出ています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313788/showshotcorne-22/
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー著, 望月衛訳「ヤ
バい経済学 [増補改訂版]」
に出てくる、ヤクの売人と暮らして研究するような経済学者ではない。
いい情報を集められ、分析力があれば書斎派でもいいだろうが、どうも、少
なくともITに関しては、現場は知らない、筋の悪い情報しか知らない、表面し
か知らない、B to C、つまり一般消費者向けに派手にやってる世界しか知らな
い、要は見ている世界が狭くて浅い。
これでは、生き馬の目を抜く我々の業界では、生きていけない。
改革によって生き残りを説く経済学者かつ人気ベストセラーライターである
人が、これでは、先が思いやられるし、それを信じてしまう読者が多いとなる
と、ますます、日本の将来は危ういよね。
野口悠紀雄は、もうITについて書かないほうがいい。その方が日本社会に害
が少ない。
次回は、いつになるかな。^^;
関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/10/12/3815127
野口悠紀雄のトンデモIT論その5
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/09/20/3775421
野口悠紀雄のトンデモIT論その4
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/03/17/2761877
野口悠紀雄のトンデモIT論その3
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/23/2525228
Re: 野口悠紀雄のトンデモIT論その2
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/18/2518057
野口悠紀雄のトンデモIT論その2
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/11/28/2462155
野口悠紀雄のトンデモIT論
---
少し書く余裕があるので、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/11/28/2462155
野口悠紀雄のトンデモIT論
の続き。
今回関係ある部分は実はすでに
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/05/2472579
プログラミング言語の人気ランキング
で書いた部分があるので、追加で書けばいいから、負担が少ないというわけ。
まず、野口悠紀雄が書いた「21世紀のゴールドラッシュ第57回」
http://www.noguchi.co.jp/archive/goldrush/gr_057.php
反マイクロソフトの盟主サンマイクロ
を読んでほしい。
我々の知っている歴史と現在とはまったく違う嘘が書いてある(実はこの回
には、もう1つ、我々の知っている歴史とはまったく違う嘘につながることが
書いてあるが、それが何かは宿題。でも、いつ書くかわかりません。すみませ
ん)。
野口悠紀雄は、こう書いている。
「しかし、実際には、ジャバはそれほど普及しなかったのである」
最近、ASAHIネットのtti/salon(筒井康隆会議室)で、往年の多元世界SFの傑
作であるフレデリック・ブラウンの「発狂した宇宙」の話題が出た。この文庫
本解説を筒井さんが書いているのだ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150102228/showshotcorne-22/
フレドリック・ブラウン著, 稲葉明雄訳「発狂した宇宙 (ハヤカワ文庫 SF
(222))」
懐かしくなって買ってきて読んだ。最初はこんな始まりだったかなあと思っ
たが、「アルクトゥールス人」という言葉が出てきて、ぱあっと一気に思い出
した。この話、我々の住む宇宙と似ているところは多いが、まるっきり違って
いるところも多々ある別の宇宙に放り込まれた男の奮闘記だ。
そして、野口悠紀雄の書く
「しかし、実際には、ジャバはそれほど普及しなかったのである」
という一文を読むと、自分が「発狂した宇宙」の主人公になった気分にさせら
れる。なぜなら、我々の宇宙では、Javaは大いに普及しているからだ。
これが10年前の1997年時点での記述なら納得できる。当時は、Javaが出て数
年。危機感を抱いたMS(マイクロソフト)が、Javaの分断を図って普及を阻止し
ようとしていたころだったからだ。
しかし、野口悠紀雄が上の一文を書いたのは、おそらく2005年、早くても
2004年か2003年だろう。というのは、週刊新潮の連載「21世紀のゴールドラッ
シュ」をまとめた
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4104329053/showshotcorne-22/
野口悠紀雄著「ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル」
の出版が、amazonのデータでは2005/09/21になっているからだ。
2005年、百歩譲って2004年、二百歩譲って2003年にJavaがそれほど普及して
いなかったなどと、どうして書けるのか。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/05/2472579
プログラミング言語の人気ランキング
で話題にした
http://www.tiobe.com/index.htm?tiobe_index
TIOBE Programming Community Index
で、Javaはほとんどずっと1位。
http://www.tiobe.com/tiobe_index/Java.html
をみると、2004年10月に2位になっているし、グラフからするとその前後も2
位だった可能性もあるが、まあ、フツーに考えて、ここが2001年からランキン
グをやり始めてほとんどずっと1位。
しばしば書くが、本屋の棚でも、単独のプログラミング言語としては最も多
くの棚を占めている。
そして、実際の開発の現場でも、おれの知る限り、2000年くらいからはサー
バ側の案件はJavaベースが多くなった。特にエンタープライズ系の案件、大手
SI(システム構築)業者が手がける案件はJava一色になった。
さらにいえば、野口悠紀雄は、携帯電話にもJavaが入っていることを知らな
いのか。家電やら組み込み系にもJavaが入ってたりするんだよね。全世界で何
10億台という規模でJavaは動いている。
それを
「しかし、実際には、ジャバはそれほど普及しなかったのである」
と書く。不思議でしょう。「発狂した宇宙」に放り込まれた気分になるという
のも、ご理解いただけたでしょうか。
野口悠紀雄は、書いているものを読む限り、現場に出て行く学者ではない。
書斎派だ。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/02/09/1173221
ヤバい経済学と相撲の八百長
で紹介した
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313656/showshotcorne-22/
スティーヴン・レヴィット, スティーヴン・ダブナー著, 望月衛訳「ヤバい経
済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する」
いまは、増補改訂版が出ています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313788/showshotcorne-22/
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー著, 望月衛訳「ヤ
バい経済学 [増補改訂版]」
に出てくる、ヤクの売人と暮らして研究するような経済学者ではない。
いい情報を集められ、分析力があれば書斎派でもいいだろうが、どうも、少
なくともITに関しては、現場は知らない、筋の悪い情報しか知らない、表面し
か知らない、B to C、つまり一般消費者向けに派手にやってる世界しか知らな
い、要は見ている世界が狭くて浅い。
これでは、生き馬の目を抜く我々の業界では、生きていけない。
改革によって生き残りを説く経済学者かつ人気ベストセラーライターである
人が、これでは、先が思いやられるし、それを信じてしまう読者が多いとなる
と、ますます、日本の将来は危ういよね。
野口悠紀雄は、もうITについて書かないほうがいい。その方が日本社会に害
が少ない。
次回は、いつになるかな。^^;
関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/10/12/3815127
野口悠紀雄のトンデモIT論その5
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/09/20/3775421
野口悠紀雄のトンデモIT論その4
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/03/17/2761877
野口悠紀雄のトンデモIT論その3
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/23/2525228
Re: 野口悠紀雄のトンデモIT論その2
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/18/2518057
野口悠紀雄のトンデモIT論その2
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/11/28/2462155
野口悠紀雄のトンデモIT論
コメント
_ pon ― 2007年12月18日 14時54分46秒
_ pon ― 2007年12月18日 14時57分59秒
次のサイトの更新日時から、2005年の6~7月ごろと推定できます。
http://www.noguchi.co.jp/archive/goldrush/bn.php
http://www.noguchi.co.jp/archive/goldrush/bn.php
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※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
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_ ホットコーナーの舞台裏 - 2007年12月23日 10時23分33秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/18/
野口悠紀雄のトンデモIT論その2
の
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/18/
野口悠紀雄のトンデモIT論その2
の
_ ホットコーナーの舞台裏 - 2009年11月09日 09時30分25秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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もう2ヵ月くらい前になるが、第59回東レ科学講演会に行って
---
もう2ヵ月くらい前になるが、第59回東レ科学講演会に行って
_ ホットコーナーの舞台裏 - 2010年03月24日 00時29分07秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/03/14/4947672
Shibuya.lisp テクニカルトーク #5
---
http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/03/14/4947672
Shibuya.lisp テクニカルトーク #5
_ ホットコーナーの舞台裏 - 2010年05月13日 06時15分46秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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オライリージャパンから、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873114284/sh
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オライリージャパンから、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873114284/sh
_ ホットコーナーの舞台裏 - 2012年09月21日 07時26分13秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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知らなかった。楽天の三木谷社長は、こんな発言をしていたんだ。
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知らなかった。楽天の三木谷社長は、こんな発言をしていたんだ。
_ ホットコーナーの舞台裏 - 2014年08月28日 11時04分25秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
http://iiyu.asablo.jp/blog/2014/08/27/7422627
日本に欠如する科学リテラシー、死
---
http://iiyu.asablo.jp/blog/2014/08/27/7422627
日本に欠如する科学リテラシー、死
_ ホットコーナー - 2016年03月16日 10時26分16秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
---
タイトルは、いま、話題の待機児童問題に憤慨したお母さんのブログ。
「保育園落ちた日本死ね!」
を真似てみました。\(^O^)/
---
タイトルは、いま、話題の待機児童問題に憤慨したお母さんのブログ。
「保育園落ちた日本死ね!」
を真似てみました。\(^O^)/
に次の一文があります。
「昨年4月に、マイクロソフトがサンマイクロに19億5000万ドルを支払い、最終的に和解したとされている。」
この事件については、次のサイトの一文があります。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20065256,00.htm
「2004/04/05 09:52
Sun Microsystemsは2日(米国時間)、長年の敵であるMicrosoftと争っていた法的問題を解決し、両社が技術協力を進めることになったと発表したが、これによりMicrosoftはSunに19億5000万ドルを支払うことになる。」
したがって、冒頭のページを書いた時点は「2005年」と断定できます。