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CTM/CTMCP/ガウディ本で気になった訳語その32008年04月16日 02時52分03秒

ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/03/03/2686540
CTM/CTMCP/ガウディ本で気になった訳語その2
の続き。
 CTMの日本語版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798113468/showshotcorne-22/
セイフ・ハリディ, ピーター・ヴァン・ロイ, 羽永洋訳「コンピュータプログ
ラミングの概念・技法・モデル」
の訳は、やはり問題多いね。

 「6.6 状態に関する推論」では公理的意味論が出てくる。そして、「6.6.1
不変表明」(453ページ)で、precondition, postconditionをそれぞれ「前条件
(まえじょうけん)」「後条件(あとじょうけん)」(ふりがなは、索引から推測)
と訳しているが、これも標準的な訳語ではない。
 普通は、事前条件、事後条件。
 普通は「表示的意味論」という、「Denotational Semantics」の訳を「記述
的意味論」としていることといい、訳者の羽永洋には、プログラム基礎論の知
識がない。彼はある大学の教授らしいけれど。名前は、翔泳社の「翔泳」のヘ
ンとツクリをばらして作ったペンネームだけどね。

 516ページの、
「次のクラスCは正しい。Cの中で、2つのメソッドmが使えるからである。」
は、完全に間違い。意味が通らないので、変だなと思って原書を確認した。
 原文は、
「The Class C below is also illegal, since two methods m are available
in C:」
 つまり、「次のクラスCも正しくない」のが正解。
 逆。この人、ほんと逆に訳すね。全然、理解できてないのに訳しているから
こんなことになる。illegalをlegalだと訳すのはいくらなんでもひどいよ。そ
の前に、クラスCがillegalだという正しくない例を出してあって、それを受
けての「also」なのに。
 そうか、これは、クラス継承グラフの問題を理解する以前のレベルでの間違
いですね。

 delegateも、「委任」と訳しているが、プログラミングの世界では、普通は
「委譲」ですね。

 夜中にうたた寝から目が覚めて、たまたま7章のオブジェクト指向プログラ
ミングを読み出したら、これだもんね。ちゃんと読むと、まだ問題箇所はあり
そうだね。
 原書がいい人は、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0262220695/showshotcorne-22/
Peter Van Roy and Seif Haridi著「Concepts, Techniques, and Models of
Computer Programming」
をどうぞ。

 それはそれとして、Oz/Mozartで定義するオブジェクト指向機能は、すごい
ね。好みだね。実行時クラス定義だし、リフレクションも簡単だし、メソッド
のラベル(他の言語の通常の意味ではメソッド名)は、
meth !A(bar:X)
% メソッド本体
end
のように、変数Aに入っている名前によって実行時にメソッドが動的にも定義
できるし、メソッドの選択は、メソッド頭部(たとえば、foo(a:A b:B c:C))と
のパターンマッチだし、otherwiseというどのメソッド頭部ともパターンマッ
チしなかった場合の処理メソッドもあるし。
 これらのオブジェクト指向機能は、Oz/Mozartが備える基本的な言語機構か
ら構築されている。たとえば、パターンマッチは、元々、Oz/Mozartにあるユ
ニフィケーション機構とタプルを使っている。
 小さな宣言的な核言語から出発して、計算モデルや技法に応じて、言語を拡
張しながら、計算モデルや技法の解説するのが本書のスタイルだけど、オブジ
ェクト指向機能の追加は、少数のよく考えられた気の利いた言語機構だけあれ
ば、強力な言語機構が簡単に実装できるよい例になっている。