映画「メッセージ」は、ファーストコンタクトSF, 言語SF, 前衛書道SF, タイムトラベルSF, 哲学SFだった\(^O^)/ ― 2017年06月04日 08時20分50秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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ネタバレ注意。
映画「メッセージ」を観ました。
これ、すごいわ。
ファーストコンタクトSFであり, 言語SFであり, 前衛書道SFであり, タイムトラベルSFであり, 哲学SFだ。
http://www.message-movie.jp
映画『メッセージ』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ
異星人の宇宙船が、お菓子の「ばかうけ」そっくりで、監督もそれをネタにし、「バケウケ」の栗山米菓は、コラボポスターまで作っている。
http://eiga.com/news/20170522/19/
「メッセージ」×ばかうけ“公式”コラボポスター完成!販売会社社長「運命感じた」
2017年5月22日 19:00
http://wired.jp/2017/05/20/story-of-your-life/
【ネタバレ注意!!】映画『メッセージ』は原作小説の「感動」を伝え切れていない:『WIRED』US版の考察
2017.05.20 SAT 12:00
原作は、テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」。
未読だが、短編が、こんな壮大な映画になるんだから、監督や脚本の力ってすごいね。
映画「マイノリティ・リポート」も、フィリップ・K・ディックの短編小説があんな映画になったんだもんね。
さて、映画「メッセージ(原題 Arraival)」。
ここから、ネタバレします。
異星人(ヘプタポッド)はタコ型。ヘプタボッドの足は7本。タコとイカの間を取って、9本かと思ったら、さにあらず。
大きさも、地球人と比べると、でかい。上のほうは、見えない。見えるのは足だけ。その足は、上のほうで、巨大な象の鼻が7本束ねてあって、下だけ見えている感じ。ほかのイメージでいうと、縄文杉など屋久杉のでかい奴。ああいう巨大杉の下のほうは、タコの足みたいになっているが、ああいう感じ。
タコという選択は素晴らしい。タコは知能が高いから。そのおかげだろう。ヘプタポッドは、重力を自由に操っている。
おれたち、おとめ座銀河団の連中と同等以上だな。\(^O^)/
おとめ座銀河団の小学校で、ブラックホール工学の単位が取れず、追試を受けたお前が言うな。
そうですね。\(^O^)/
ファーストコンタクトSFの常として、コミュニケーションが問題。
筒井康隆作品には、言語の問題、コミュニケーション問題を扱った傑作がいくつもあるが、ファーストコンタクトものは、中でも、ほんとに面白い。たとえば「関節話法」。
「メッセージ」は、他のファーストコンタクト、異星人侵略もののように、殺し合いや戦争をするわけでもなく、筒井作品のような爆笑のドタバタでもなく、あくまで静かに静かに物語が進行する。
鑑賞後、しんしんと考えてしまう哲学SF。
タコという選択が特に素晴らしいのは、ヘプタボッドが、手というか足というか触手というか、その先から墨を吐いて文字を書くこと。
その文字が、前衛水墨画というか、前衛書道というか、とにかくかっこいい。円が基本なのもいい。墨の世界と相まって、東洋思想が表現されているように思える。
しかも、文字を解読していくと、時制がないことがわかる。、ヘプタボッドには、未来を知る能力があることがわかる。
そうか、それで、サッカーワールドカップの勝敗を当てるタコがいたんだ。\(^O^)/
https://ja.wikipedia.org/wiki/パウル_(タコ)
http://fxconsulting.jp/gyanburu/sekai/tako.html
W杯の勝敗を的中し、世界を騒然とさせたタコのパウル君の秘密
映画の冒頭は、主人公の回想シーンから始まる。
と思ったら、後から、あれが回想シーンじゃないことがわかる。
過去ではなく、未来の記憶、過去の回想ではなく、未来を回想するシーン。
この辺が、一風変わったタイムトラベルSF仕立て。
未来を見通せるヘプタボッドと接触したから、主人公は、そうなったことが示唆され、そんな未来の回想シーンが、何度もストーリーの途中に挿入される。
なるほど、そういう作りなのか、この映画は。
映画を見終わった現在、これ、2度、3度と観ないと見落としたことがいろいろありそうだと感じている。DVDかブルーレイが出たら、何度も巻き戻して確認したくなる。
こういう映画は、「メメント」以来。これはDVDかビデオで観た。
「メメント」は、映画の中の時間の流れが逆だから、観る側も大変。映画館で観たら、何が何だかわからなかったと思う。
「メッセージ」で描かれる未来は、不確実な確率論的な未来ではなく、決定論的な未来。
未来がわかっても変えられない。その通りになるしかない。
これ、大変よ。
楽しいバラ色の人生ならいいよ。だが、つらく苦しいことばかりの人生が待っていて、あまりにつらいので死のうと思っても、決められた未来の死まで、死ぬこともできず、ずっと苦しみの中でもがくしかない。あなたの未来が、そんな未来だとわかって、受け入れられますか。
こんな決定論的な未来を知る能力を人類が得たとして、肉体的にも精神的にも、これほどにももろい、今の人類が耐えられるとは思えない。全員発狂して、文明が崩壊するしかないだろう。
あ、その未来もすでに決まっているのか。\(^O^)/
未来がわかる話で、思い出すのは、カート・ヴォネガット・ジュニア「タイタンの妖女」。
猛烈にややこしい名前の、過去も未来も現在も全部見通せてしまう現象があったでしょ。なんだっけ。思い出せない。
検索検索森田健作。あったあった、これこれ。
「時間等曲率漏斗」(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)
現代物理学の根幹を成す2大理論の1つ、量子力学の世界では、シュレディンガーの波動方程式が示すのは確率波だというマックス・ボルンの主張を、量子力学の父といっていいニールス・ボーアたちが認めたコペンハーゲン解釈、世界は無限に分岐していくという、ヒュー・エヴェレット、ブライス=デウィットの多世界解釈や、デコーヒレンス理論などいろいろあるが、この宇宙は根本からして確率論的で不確実な世界というコペンハーゲン解釈が一般的だと思う。
しかし、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/09/18/4583880
日経サイエンス2009年10月号、アハラノフ、ブラック・スワン
で書いた、アハラノフ博士の理論のように、一種の決定論だとおれには思える理論もある。
アハラノフ理論は、ディスカバリーチャンネルの「モーガン・フリーマンが語る宇宙」では、時間か、宇宙の未来をテーマにしたときにも、出てきたと記憶している。
「メッセージ」の世界、ヘプタポッドの世界は、アハラノフ的決定論の世界なのかも。いやいや、それこそが、この宇宙の真の姿かもしれない。
地球人は、マクロでは、熱力学の第2法則、エントロピーの増大によって時間の矢を感じて、時間は過去から未来へと一方通行で流れると思っているが、そんなものは、嘘かもしれない。
所詮、現在の人類程度のレベルでは、脳の構造上、認識もできないし、計測、観測もできない世界があって、そこでは時間の矢なんて自由自在で、未来も見通せるのかもしれない。
だって、地球人。いまだに、ダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)の正体すらわかってないレベルなんだから。
まあ、ヘプタポッドの世界や、この太陽系や情報省を作ったおれたちの故郷、おとめ座銀河団の文明からしたら、原始人レベルだもんね。\(^O^)/
そんなこんなで、宇宙論的、哲学的なことを、しかも、答がないことを、静かにしんしんと考えてしまう映画でした。
■■ 本やDVDなどの紹介 ■■
■あなたの人生の物語
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150114587/showshotcorne-22/
あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2003/9/30
テッド・チャン (著), 公手成幸 (翻訳), 浅倉久志 (翻訳), 古沢嘉通 (翻訳), 嶋田洋一 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00O2O7JEA/showshotcorne-22/
あなたの人生の物語 Kindle版
テッド チャン (著), 浅倉久志 (翻訳)
■マイノリティ・リポート
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150112789/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 1999/6
フィリップ・K. ディック (著), Philip K. Dick (原著), 浅倉 久志 (翻訳)
いまは、傑作選にも収録されているね。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150118639/showshotcorne-22/
トータル・リコール (ディック短篇傑作選) 文庫 – 2012/7/5
フィリップ・K・ディック (著), 大森 望 (編集), 大森望 (翻訳), 浅倉久志 (翻訳), 深町眞理子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B009DELIYG/showshotcorne-22/
トータル・リコール ディック短篇傑作選 Kindle版
フィリップ・K・ディック (著), 大森 望 (著, 編集), 大森望 (翻訳), 浅倉久志 (翻訳), 深町眞理子 (翻訳)
映像作品は、トム・クルーズ主演の映画が有名だけど、3人のプレコグに焦点を当てたドラマも作られていて、それはJ:COMのケーブルテレビで観た。
トム・クルーズの映画版は、いろんなバージョンが出過ぎていてわからん。テキトー。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00B1NYC68/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート [DVD]
トム・クルーズ (出演), コリン・ファレル (出演), スティーブン・スピルバーグ (監督) 形式: DVD
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00FWUJVEO/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート [Blu-ray]
トム・クルーズ (出演), コリン・ファレル (出演), スティーブン・スピルバーグ (監督) 形式: Blu-ray
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B008MVQBMU/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート(SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]
スターク・サンズ (出演), ミーガン・グッド (出演) 形式: DVD
3人のプレコグに焦点を当てたドラマは、これ。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01LTHL074/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート(SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]
スターク・サンズ (出演), ミーガン・グッド (出演) 形式: DVD
■関節話法
「関節話法」が収録されているのは、「宇宙衛生博覧会」や「傾いた世界」。「会」だったり、「會」だったりしているが。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103145099/showshotcorne-22/
宇宙衛生博覧会 単行本 – 1979/10
筒井 康隆 (著)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101171157/showshotcorne-22/
宇宙衛生博覧会 (新潮文庫) 文庫 – 1982/8
筒井 康隆 (著)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00IP4BZFM/showshotcorne-22/
宇宙衞生博覽會(新潮文庫) Kindle版
筒井 康隆 (著)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101171440/showshotcorne-22/
傾いた世界―自選ドタバタ傑作集〈2〉 (新潮文庫) 文庫 – 2002/10/30
筒井 康隆 (著)
「宇宙衞生博覽會」あるいは「宇宙衛生博覧会」は、初めて筒井康隆を読む人には、きついかもということを、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/09/04/3741471
蟹工船 VS 蟹甲癬
http://iiyu.asablo.jp/blog/2006/06/11/400309
Re: かにゴールキーパー
http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/02/20/4893123
Re: 筒井康隆朗読会初日
で書いている。
亡くなった、さっちゃん(山田幸子さん、結婚後は柳平幸子さん)に、悪いことをしたなあという思い出がある。
「蟹工船 VS 蟹甲癬」を読み直してわかったが、さっちゃんが亡くなったのは、2008年1月だったんだ。もうそろそろ10年か。あっという間だったね。
■メメント
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000D8RO4/showshotcorne-22/
メメント [DVD]
ガイ・ピアース (出演), キャリー=アン・モス (出演), クリストファー・ノーラン (監督, 脚本)
関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/11/24/2455297
映画「デジャブ」
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/07/16/1658841
アニメ「時をかける少女」と「ダンシング・ヴァニティ」
■タイタンの妖女
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150117004/showshotcorne-22/
タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2009/2/25
カート・ヴォネガット・ジュニア (著), 和田 誠 (イラスト), 浅倉久志 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00C2R9UUK/showshotcorne-22/
タイタンの妖女 Kindle版
カート ヴォネガット ジュニア (著), 浅倉 久志 (翻訳)
■アハラノフ理論
アハラノフ理論は、簡単な紹介が
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0910/200910_024.html
日経サイエンス 2009年10月号
特集:量子力学の実像に迫る
宇宙の未来が決める現在
Y.アハラノフ(テルアビブ大学) 鹿野豊 細谷暁夫(ともに東京工業大学)
で読める。
記事全体は、そこで、ダウンロード購入で買えるが、この記事だけで500円は高いよね。興味がある人はどうぞ。
あ、いま、ヘプタボッドのように、未来を知って、このブログエントリを最後まで読んでわかったが、ダウンロード購入より「、この号の紙の雑誌全体を買った方が安い。最後をみて。
あ、これを収録した「別冊日経サイエンス 186 実在とは何か」は、版元品切れで流通在庫のみ。
http://www.nikkei-science.com/page/sci_book/bessatu/51186.html
別冊186
実在とは何か?
日経サイエンス編集部 編
2012年8月22日 A4変型判 27.6cm×20.6cm 144ページ ISBN978-4-532-51186-9
2,000円+税
アマゾンには、中古としてまだある。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532511860/showshotcorne-22/
実在とは何か? (別冊日経サイエンス 186) 大型本 – 2012/8/22
日経サイエンス編集部 (編さん)
大型本
¥ 2,158 より
¥ 2,158 より 9 中古品の出品
¥ 18,695 より 1 新品
¥ 5,198 より 1 コレクター商品の出品
¥18,695って、セドリ屋がでたらめな値段をつけてるね。
あ、2009年10月号を買った方がいい。だって、いま、1円。\(^O^)/
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002K9XH8G/showshotcorne-22/
日経サイエンス 2009年 10月号 [雑誌] 雑誌 – 2009/8/25
5つ星のうち 5.0 2件のカスタマーレビュー
雑誌
¥ 1 より
¥ 1 より 5 中古品の出品
関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/09/09/5339111
カオスとアクシデントを操る数学、明日をどこまで計算できるか?
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/09/18/4583880
日経サイエンス2009年10月号、アハラノフ、ブラック・スワン
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/03/01/2677368
多世界解釈、量子コンピュータ、日経サイエンス2008年04月号
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/03/07/2706855
Re: 多世界解釈、量子コンピュータ、日経サイエンス2008年04月号
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ネタバレ注意。
映画「メッセージ」を観ました。
これ、すごいわ。
ファーストコンタクトSFであり, 言語SFであり, 前衛書道SFであり, タイムトラベルSFであり, 哲学SFだ。
http://www.message-movie.jp
映画『メッセージ』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ
異星人の宇宙船が、お菓子の「ばかうけ」そっくりで、監督もそれをネタにし、「バケウケ」の栗山米菓は、コラボポスターまで作っている。
http://eiga.com/news/20170522/19/
「メッセージ」×ばかうけ“公式”コラボポスター完成!販売会社社長「運命感じた」
2017年5月22日 19:00
http://wired.jp/2017/05/20/story-of-your-life/
【ネタバレ注意!!】映画『メッセージ』は原作小説の「感動」を伝え切れていない:『WIRED』US版の考察
2017.05.20 SAT 12:00
原作は、テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」。
未読だが、短編が、こんな壮大な映画になるんだから、監督や脚本の力ってすごいね。
映画「マイノリティ・リポート」も、フィリップ・K・ディックの短編小説があんな映画になったんだもんね。
さて、映画「メッセージ(原題 Arraival)」。
ここから、ネタバレします。
異星人(ヘプタポッド)はタコ型。ヘプタボッドの足は7本。タコとイカの間を取って、9本かと思ったら、さにあらず。
大きさも、地球人と比べると、でかい。上のほうは、見えない。見えるのは足だけ。その足は、上のほうで、巨大な象の鼻が7本束ねてあって、下だけ見えている感じ。ほかのイメージでいうと、縄文杉など屋久杉のでかい奴。ああいう巨大杉の下のほうは、タコの足みたいになっているが、ああいう感じ。
タコという選択は素晴らしい。タコは知能が高いから。そのおかげだろう。ヘプタポッドは、重力を自由に操っている。
おれたち、おとめ座銀河団の連中と同等以上だな。\(^O^)/
おとめ座銀河団の小学校で、ブラックホール工学の単位が取れず、追試を受けたお前が言うな。
そうですね。\(^O^)/
ファーストコンタクトSFの常として、コミュニケーションが問題。
筒井康隆作品には、言語の問題、コミュニケーション問題を扱った傑作がいくつもあるが、ファーストコンタクトものは、中でも、ほんとに面白い。たとえば「関節話法」。
「メッセージ」は、他のファーストコンタクト、異星人侵略もののように、殺し合いや戦争をするわけでもなく、筒井作品のような爆笑のドタバタでもなく、あくまで静かに静かに物語が進行する。
鑑賞後、しんしんと考えてしまう哲学SF。
タコという選択が特に素晴らしいのは、ヘプタボッドが、手というか足というか触手というか、その先から墨を吐いて文字を書くこと。
その文字が、前衛水墨画というか、前衛書道というか、とにかくかっこいい。円が基本なのもいい。墨の世界と相まって、東洋思想が表現されているように思える。
しかも、文字を解読していくと、時制がないことがわかる。、ヘプタボッドには、未来を知る能力があることがわかる。
そうか、それで、サッカーワールドカップの勝敗を当てるタコがいたんだ。\(^O^)/
https://ja.wikipedia.org/wiki/パウル_(タコ)
http://fxconsulting.jp/gyanburu/sekai/tako.html
W杯の勝敗を的中し、世界を騒然とさせたタコのパウル君の秘密
映画の冒頭は、主人公の回想シーンから始まる。
と思ったら、後から、あれが回想シーンじゃないことがわかる。
過去ではなく、未来の記憶、過去の回想ではなく、未来を回想するシーン。
この辺が、一風変わったタイムトラベルSF仕立て。
未来を見通せるヘプタボッドと接触したから、主人公は、そうなったことが示唆され、そんな未来の回想シーンが、何度もストーリーの途中に挿入される。
なるほど、そういう作りなのか、この映画は。
映画を見終わった現在、これ、2度、3度と観ないと見落としたことがいろいろありそうだと感じている。DVDかブルーレイが出たら、何度も巻き戻して確認したくなる。
こういう映画は、「メメント」以来。これはDVDかビデオで観た。
「メメント」は、映画の中の時間の流れが逆だから、観る側も大変。映画館で観たら、何が何だかわからなかったと思う。
「メッセージ」で描かれる未来は、不確実な確率論的な未来ではなく、決定論的な未来。
未来がわかっても変えられない。その通りになるしかない。
これ、大変よ。
楽しいバラ色の人生ならいいよ。だが、つらく苦しいことばかりの人生が待っていて、あまりにつらいので死のうと思っても、決められた未来の死まで、死ぬこともできず、ずっと苦しみの中でもがくしかない。あなたの未来が、そんな未来だとわかって、受け入れられますか。
こんな決定論的な未来を知る能力を人類が得たとして、肉体的にも精神的にも、これほどにももろい、今の人類が耐えられるとは思えない。全員発狂して、文明が崩壊するしかないだろう。
あ、その未来もすでに決まっているのか。\(^O^)/
未来がわかる話で、思い出すのは、カート・ヴォネガット・ジュニア「タイタンの妖女」。
猛烈にややこしい名前の、過去も未来も現在も全部見通せてしまう現象があったでしょ。なんだっけ。思い出せない。
検索検索森田健作。あったあった、これこれ。
「時間等曲率漏斗」(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)
現代物理学の根幹を成す2大理論の1つ、量子力学の世界では、シュレディンガーの波動方程式が示すのは確率波だというマックス・ボルンの主張を、量子力学の父といっていいニールス・ボーアたちが認めたコペンハーゲン解釈、世界は無限に分岐していくという、ヒュー・エヴェレット、ブライス=デウィットの多世界解釈や、デコーヒレンス理論などいろいろあるが、この宇宙は根本からして確率論的で不確実な世界というコペンハーゲン解釈が一般的だと思う。
しかし、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/09/18/4583880
日経サイエンス2009年10月号、アハラノフ、ブラック・スワン
で書いた、アハラノフ博士の理論のように、一種の決定論だとおれには思える理論もある。
アハラノフ理論は、ディスカバリーチャンネルの「モーガン・フリーマンが語る宇宙」では、時間か、宇宙の未来をテーマにしたときにも、出てきたと記憶している。
「メッセージ」の世界、ヘプタポッドの世界は、アハラノフ的決定論の世界なのかも。いやいや、それこそが、この宇宙の真の姿かもしれない。
地球人は、マクロでは、熱力学の第2法則、エントロピーの増大によって時間の矢を感じて、時間は過去から未来へと一方通行で流れると思っているが、そんなものは、嘘かもしれない。
所詮、現在の人類程度のレベルでは、脳の構造上、認識もできないし、計測、観測もできない世界があって、そこでは時間の矢なんて自由自在で、未来も見通せるのかもしれない。
だって、地球人。いまだに、ダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)の正体すらわかってないレベルなんだから。
まあ、ヘプタポッドの世界や、この太陽系や情報省を作ったおれたちの故郷、おとめ座銀河団の文明からしたら、原始人レベルだもんね。\(^O^)/
そんなこんなで、宇宙論的、哲学的なことを、しかも、答がないことを、静かにしんしんと考えてしまう映画でした。
■■ 本やDVDなどの紹介 ■■
■あなたの人生の物語
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150114587/showshotcorne-22/
あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2003/9/30
テッド・チャン (著), 公手成幸 (翻訳), 浅倉久志 (翻訳), 古沢嘉通 (翻訳), 嶋田洋一 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00O2O7JEA/showshotcorne-22/
あなたの人生の物語 Kindle版
テッド チャン (著), 浅倉久志 (翻訳)
■マイノリティ・リポート
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150112789/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 1999/6
フィリップ・K. ディック (著), Philip K. Dick (原著), 浅倉 久志 (翻訳)
いまは、傑作選にも収録されているね。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150118639/showshotcorne-22/
トータル・リコール (ディック短篇傑作選) 文庫 – 2012/7/5
フィリップ・K・ディック (著), 大森 望 (編集), 大森望 (翻訳), 浅倉久志 (翻訳), 深町眞理子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B009DELIYG/showshotcorne-22/
トータル・リコール ディック短篇傑作選 Kindle版
フィリップ・K・ディック (著), 大森 望 (著, 編集), 大森望 (翻訳), 浅倉久志 (翻訳), 深町眞理子 (翻訳)
映像作品は、トム・クルーズ主演の映画が有名だけど、3人のプレコグに焦点を当てたドラマも作られていて、それはJ:COMのケーブルテレビで観た。
トム・クルーズの映画版は、いろんなバージョンが出過ぎていてわからん。テキトー。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00B1NYC68/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート [DVD]
トム・クルーズ (出演), コリン・ファレル (出演), スティーブン・スピルバーグ (監督) 形式: DVD
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00FWUJVEO/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート [Blu-ray]
トム・クルーズ (出演), コリン・ファレル (出演), スティーブン・スピルバーグ (監督) 形式: Blu-ray
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B008MVQBMU/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート(SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]
スターク・サンズ (出演), ミーガン・グッド (出演) 形式: DVD
3人のプレコグに焦点を当てたドラマは、これ。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01LTHL074/showshotcorne-22/
マイノリティ・リポート(SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]
スターク・サンズ (出演), ミーガン・グッド (出演) 形式: DVD
■関節話法
「関節話法」が収録されているのは、「宇宙衛生博覧会」や「傾いた世界」。「会」だったり、「會」だったりしているが。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103145099/showshotcorne-22/
宇宙衛生博覧会 単行本 – 1979/10
筒井 康隆 (著)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101171157/showshotcorne-22/
宇宙衛生博覧会 (新潮文庫) 文庫 – 1982/8
筒井 康隆 (著)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00IP4BZFM/showshotcorne-22/
宇宙衞生博覽會(新潮文庫) Kindle版
筒井 康隆 (著)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101171440/showshotcorne-22/
傾いた世界―自選ドタバタ傑作集〈2〉 (新潮文庫) 文庫 – 2002/10/30
筒井 康隆 (著)
「宇宙衞生博覽會」あるいは「宇宙衛生博覧会」は、初めて筒井康隆を読む人には、きついかもということを、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/09/04/3741471
蟹工船 VS 蟹甲癬
http://iiyu.asablo.jp/blog/2006/06/11/400309
Re: かにゴールキーパー
http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/02/20/4893123
Re: 筒井康隆朗読会初日
で書いている。
亡くなった、さっちゃん(山田幸子さん、結婚後は柳平幸子さん)に、悪いことをしたなあという思い出がある。
「蟹工船 VS 蟹甲癬」を読み直してわかったが、さっちゃんが亡くなったのは、2008年1月だったんだ。もうそろそろ10年か。あっという間だったね。
■メメント
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000D8RO4/showshotcorne-22/
メメント [DVD]
ガイ・ピアース (出演), キャリー=アン・モス (出演), クリストファー・ノーラン (監督, 脚本)
関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/11/24/2455297
映画「デジャブ」
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/07/16/1658841
アニメ「時をかける少女」と「ダンシング・ヴァニティ」
■タイタンの妖女
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150117004/showshotcorne-22/
タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2009/2/25
カート・ヴォネガット・ジュニア (著), 和田 誠 (イラスト), 浅倉久志 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00C2R9UUK/showshotcorne-22/
タイタンの妖女 Kindle版
カート ヴォネガット ジュニア (著), 浅倉 久志 (翻訳)
■アハラノフ理論
アハラノフ理論は、簡単な紹介が
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0910/200910_024.html
日経サイエンス 2009年10月号
特集:量子力学の実像に迫る
宇宙の未来が決める現在
Y.アハラノフ(テルアビブ大学) 鹿野豊 細谷暁夫(ともに東京工業大学)
で読める。
記事全体は、そこで、ダウンロード購入で買えるが、この記事だけで500円は高いよね。興味がある人はどうぞ。
あ、いま、ヘプタボッドのように、未来を知って、このブログエントリを最後まで読んでわかったが、ダウンロード購入より「、この号の紙の雑誌全体を買った方が安い。最後をみて。
あ、これを収録した「別冊日経サイエンス 186 実在とは何か」は、版元品切れで流通在庫のみ。
http://www.nikkei-science.com/page/sci_book/bessatu/51186.html
別冊186
実在とは何か?
日経サイエンス編集部 編
2012年8月22日 A4変型判 27.6cm×20.6cm 144ページ ISBN978-4-532-51186-9
2,000円+税
アマゾンには、中古としてまだある。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532511860/showshotcorne-22/
実在とは何か? (別冊日経サイエンス 186) 大型本 – 2012/8/22
日経サイエンス編集部 (編さん)
大型本
¥ 2,158 より
¥ 2,158 より 9 中古品の出品
¥ 18,695 より 1 新品
¥ 5,198 より 1 コレクター商品の出品
¥18,695って、セドリ屋がでたらめな値段をつけてるね。
あ、2009年10月号を買った方がいい。だって、いま、1円。\(^O^)/
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002K9XH8G/showshotcorne-22/
日経サイエンス 2009年 10月号 [雑誌] 雑誌 – 2009/8/25
5つ星のうち 5.0 2件のカスタマーレビュー
雑誌
¥ 1 より
¥ 1 より 5 中古品の出品
関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/09/09/5339111
カオスとアクシデントを操る数学、明日をどこまで計算できるか?
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/09/18/4583880
日経サイエンス2009年10月号、アハラノフ、ブラック・スワン
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/03/01/2677368
多世界解釈、量子コンピュータ、日経サイエンス2008年04月号
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/03/07/2706855
Re: 多世界解釈、量子コンピュータ、日経サイエンス2008年04月号
コメント
_ keep9 ― 2017年06月06日 22時43分50秒
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トラックバック
_ ホットコーナー - 2017年06月12日 23時04分01秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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筒井康隆の新作は、言語のディコンストラクションがテーマになるようだ。
http://shokenro.jp/00001462
偽文士日碌 2017年5月2日
--- ここか
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筒井康隆の新作は、言語のディコンストラクションがテーマになるようだ。
http://shokenro.jp/00001462
偽文士日碌 2017年5月2日
--- ここか
_ ホットコーナー - 2017年06月20日 10時06分29秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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神戸で殺人アリ「ヒアリ」が見つかったというので、大々的にニュースになっているが、テレ朝の「羽鳥慎一モーニングショー」で、
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神戸で殺人アリ「ヒアリ」が見つかったというので、大々的にニュースになっているが、テレ朝の「羽鳥慎一モーニングショー」で、
_ ホットコーナー - 2017年08月13日 23時58分46秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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ネタバレ、注意。
一度、最後まで観た「パーソン・オブ・インタレスト」(POI)だが、AXNが火曜日から金曜日に、毎日2話放送をや
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ネタバレ、注意。
一度、最後まで観た「パーソン・オブ・インタレスト」(POI)だが、AXNが火曜日から金曜日に、毎日2話放送をや
_ ホットコーナー - 2017年10月06日 00時17分40秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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今年のノーベル物理学賞は、重力波の検出に大きな貢献をした、
レイナー・ワイス、バリー・バリッシュ、キップ・ソーンの3人が選
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今年のノーベル物理学賞は、重力波の検出に大きな貢献をした、
レイナー・ワイス、バリー・バリッシュ、キップ・ソーンの3人が選
_ ホットコーナー - 2018年12月27日 11時30分22秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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早く書かないから、今日になったけど、今日の午後1時、13時から、NHK BSプレミアムで、「ブレードランナー ファイナルカット」が
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早く書かないから、今日になったけど、今日の午後1時、13時から、NHK BSプレミアムで、「ブレードランナー ファイナルカット」が
_ ホットコーナー - 2020年04月07日 05時53分02秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のブログサービス、アサブロ(https://asahi-net.jp/asablo/ )を使っています。
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昨日、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2020/04/06/9232476
翔泳社では、発達障害啓発週間中、関
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昨日、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2020/04/06/9232476
翔泳社では、発達障害啓発週間中、関
_ ホットコーナー - 2020年04月12日 19時19分46秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のブログサービス、アサブロ(https://asahi-net.jp/asablo/ )を使っています。
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2020/04/07/9232530
「春のハヤカワ電子書籍祭」、国内外約1,000作品
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2020/04/07/9232530
「春のハヤカワ電子書籍祭」、国内外約1,000作品
_ ホットコーナー - 2021年01月16日 10時37分49秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のブログサービス、アサブロ(https://asahi-net.jp/asablo/ )を使っています。
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2020/12/26/9330852
数理科学2021年1月号「時空概念と物理学の発展」
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2020/12/26/9330852
数理科学2021年1月号「時空概念と物理学の発展」
_ ホットコーナー - 2022年03月07日 10時04分18秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のブログサービス、アサブロ(https://asahi-net.jp/asablo/ )を使っています。
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プーチンのロシア軍が、ウクライナに軍事侵攻、美しい首都キエフ(日本でいえば
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プーチンのロシア軍が、ウクライナに軍事侵攻、美しい首都キエフ(日本でいえば
故・平井和正の「真幻魔大戦」の中で、少女クロノスが未来の転生体であるはずの杉村優里の記憶を思い出すシーンがあって、時間の流れぐじょぐじょ状態?と思ったのですが、時間が一方向にしか流れないというわけじゃないとすると納得でした。そうなると色々シリーズ設定的に不都合なところも出て来そうなのですが、そこはもう忘れる(笑)。