マッシュアップ小説 ― 2006年11月19日 22時48分46秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
以下、前半は、以前、tti/salonにアップしたものです。反応は特になかっ
たけど。^^;
後半は、いま書いた、この件に関するおれなりの感想で、tti/salonにアッ
プしたものにはありません。
読者のknoxさんからのメールを紹介します。
音楽では、マッシュアップやリミックスといって、他人の曲や音源を混ぜ合
わせて別のものを作ることがよく行われていますし、ネットの世界でも最近増
えてきました。
一番有名例は、いろんな新聞から記事をもってきて勝手に再構成しているグ
ーグルニュースでしょうか。
http://news.google.co.jp/
で、このメールは、矢作俊彦氏がマッシュアップで小説を書いたという話で
す。
--- ここから ---
今日は。
普通のお便り(何やそれ、ラジオかいっ>自分)なんですが。
スラドを 10 日遅れで追いかけていて、面白い記事に当たりました。
で、こんな事を筒井さんとかなら、どう評するかなぁ、と考えてしまいました。
中村さんは、どう感じるでしょう。
日本初のワープロを手がけた森健一氏が文化功労者に選ばれる
http://slashdot.jp/article.pl?sid=06/10/29/0240244
の最後に紹介されている、
矢作俊彦インタビュー
http://hotwired.goo.ne.jp/speakout/interview/980227/text.html
です。
新作の小説を書く為に、
「それをやるにあたって、チャンドラーの全部の文章をスキャナーで読み込ん
で、Macに取り込んだわけ。デジタル化したわけ。それを、"マーロウがこうし
ている"というような条件検索にかけて、全部バラして、それから全部ブッこ
んで、それで文章の頭の部分を自分の文章に書き換えていったわけ。」
と、言うような作業をした、との事です。
つまり、音楽で言うところのサンプリングに当たるのでしょう。
筒井さんの作品とか、SF 一般というか、作品をバラして、再構築したら、ま
た、面白いものができそうなものがたくさんありそうな気がします。
いや、筒井さんを思い出したのは、
「それに気づいた人も何人か文芸評論家にはいるんだけれども、面白がってい
るだけで、何にもいわないんだ。そこを挑発して、誰かに考えて欲しい。ぼく
は、あれは盗作ではないという自信があるし、面白いでしょ、ぼくの作品だ、
という自信もある。だけど、チャンドラーの小説も使いました。翻訳も平気で
使いました。なかには、マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」の有
名なシーンが延々と4頁もまるまる使ってあります。でも、誰も気づかないほ
ど、ひとつの小説になっているでしょ、と。脱構築とはこういうことを言うじ
ゃないですか、と言いたいわけ」
の様に問題提起が有るから。
手法の新奇性、脱構築、問題提起。何か、新しいオモチャを前にしたようにワ
クワクします。
ワードプロセッシングという道具の可能性は、まだまだありそう、
と言う所ですね。
ではでは。
長文、しかも、殆ど引用、失礼しました。
--- ここまで ---
おれの場合、これ、コンピュータでできるんじゃないかなどということを考
えてしまうんですよ。
そのジャンルの学問をどう呼ぶのか忘れてしまったが、テキストを解析して
作家の文体の特徴を調べる学問があります。
そうすると、この文章はシェイクスピアの文章である確率は80%などとい
えるわけです。逆に応用すれば、いかにもシェクスピアが書いた文章を生成す
ることもできるわけ。
日本の作家の場合、テキストの電子化が遅れたこともあって、そういう解析
をしている研究者がどれくらいいるかわかりませんが、あおぞら文庫のように
往年の名作を電子テキスト化しているところもあるので、これから研究が進む
かもしれません。
でも、筒井康隆さんみたいに、文体を特定できないように変えてしまうよう
な人もいるので、筒井さんの場合はどうかな。エッセイは文体はかなり固定的
だと思うんだけど、初期のドタバタのあとは、わざと読み飛ばされないように
読みにくく句読点の少ない一文が長い文体にしてみたり、非常に実験的なので、
なかなかむずかしいかも。
前期、後期などと期間を区切ればその時期の特徴は抽出できそうな気もする
けど、単に文字面の解析だけじゃなくて、作品全体の構成とか、テーマとかそ
ういうので特徴抽出するアプローチじゃないと、むずかしいかも。
http://www.aozora.gr.jp/
あおぞら文庫
で、コンピュータによる自然言語処理のもっと俗な金儲けへの応用というこ
とでいえば、ブログを1000くらいもって、自分じゃ書かずに、ネット上の
あちこちからそのブログのテーマに合うような文章をかき集めて、文体を変え、
構成を変え、あたかも人間が、それも別々の人間が書いたかのようにしてしま
うというのもアイデアとしてはありますね。コンピュータにやらせるわけ。
でもって、Googleのアドセンスなりで広告を配信させて、金儲けに使うわけ。
そんなことを妄想していたら、つい、この前、聞いた話だと、アルバイトを
何人も雇ってブログを書かせて、アドセンスなりの広告や商品販売で大儲け人
も実際にいるらしいですね。そいつは、元締めをやっていて表には出ないけれ
ど、実際は何百もブログをもっているそうです。表に出ているのはバイトね。
いろいろ考えますねぇ。
おれも1000くらいブログをもつかな。
1000のブログを持つ男。\(^O^)/
---
以下、前半は、以前、tti/salonにアップしたものです。反応は特になかっ
たけど。^^;
後半は、いま書いた、この件に関するおれなりの感想で、tti/salonにアッ
プしたものにはありません。
読者のknoxさんからのメールを紹介します。
音楽では、マッシュアップやリミックスといって、他人の曲や音源を混ぜ合
わせて別のものを作ることがよく行われていますし、ネットの世界でも最近増
えてきました。
一番有名例は、いろんな新聞から記事をもってきて勝手に再構成しているグ
ーグルニュースでしょうか。
http://news.google.co.jp/
で、このメールは、矢作俊彦氏がマッシュアップで小説を書いたという話で
す。
--- ここから ---
今日は。
普通のお便り(何やそれ、ラジオかいっ>自分)なんですが。
スラドを 10 日遅れで追いかけていて、面白い記事に当たりました。
で、こんな事を筒井さんとかなら、どう評するかなぁ、と考えてしまいました。
中村さんは、どう感じるでしょう。
日本初のワープロを手がけた森健一氏が文化功労者に選ばれる
http://slashdot.jp/article.pl?sid=06/10/29/0240244
の最後に紹介されている、
矢作俊彦インタビュー
http://hotwired.goo.ne.jp/speakout/interview/980227/text.html
です。
新作の小説を書く為に、
「それをやるにあたって、チャンドラーの全部の文章をスキャナーで読み込ん
で、Macに取り込んだわけ。デジタル化したわけ。それを、"マーロウがこうし
ている"というような条件検索にかけて、全部バラして、それから全部ブッこ
んで、それで文章の頭の部分を自分の文章に書き換えていったわけ。」
と、言うような作業をした、との事です。
つまり、音楽で言うところのサンプリングに当たるのでしょう。
筒井さんの作品とか、SF 一般というか、作品をバラして、再構築したら、ま
た、面白いものができそうなものがたくさんありそうな気がします。
いや、筒井さんを思い出したのは、
「それに気づいた人も何人か文芸評論家にはいるんだけれども、面白がってい
るだけで、何にもいわないんだ。そこを挑発して、誰かに考えて欲しい。ぼく
は、あれは盗作ではないという自信があるし、面白いでしょ、ぼくの作品だ、
という自信もある。だけど、チャンドラーの小説も使いました。翻訳も平気で
使いました。なかには、マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」の有
名なシーンが延々と4頁もまるまる使ってあります。でも、誰も気づかないほ
ど、ひとつの小説になっているでしょ、と。脱構築とはこういうことを言うじ
ゃないですか、と言いたいわけ」
の様に問題提起が有るから。
手法の新奇性、脱構築、問題提起。何か、新しいオモチャを前にしたようにワ
クワクします。
ワードプロセッシングという道具の可能性は、まだまだありそう、
と言う所ですね。
ではでは。
長文、しかも、殆ど引用、失礼しました。
--- ここまで ---
おれの場合、これ、コンピュータでできるんじゃないかなどということを考
えてしまうんですよ。
そのジャンルの学問をどう呼ぶのか忘れてしまったが、テキストを解析して
作家の文体の特徴を調べる学問があります。
そうすると、この文章はシェイクスピアの文章である確率は80%などとい
えるわけです。逆に応用すれば、いかにもシェクスピアが書いた文章を生成す
ることもできるわけ。
日本の作家の場合、テキストの電子化が遅れたこともあって、そういう解析
をしている研究者がどれくらいいるかわかりませんが、あおぞら文庫のように
往年の名作を電子テキスト化しているところもあるので、これから研究が進む
かもしれません。
でも、筒井康隆さんみたいに、文体を特定できないように変えてしまうよう
な人もいるので、筒井さんの場合はどうかな。エッセイは文体はかなり固定的
だと思うんだけど、初期のドタバタのあとは、わざと読み飛ばされないように
読みにくく句読点の少ない一文が長い文体にしてみたり、非常に実験的なので、
なかなかむずかしいかも。
前期、後期などと期間を区切ればその時期の特徴は抽出できそうな気もする
けど、単に文字面の解析だけじゃなくて、作品全体の構成とか、テーマとかそ
ういうので特徴抽出するアプローチじゃないと、むずかしいかも。
http://www.aozora.gr.jp/
あおぞら文庫
で、コンピュータによる自然言語処理のもっと俗な金儲けへの応用というこ
とでいえば、ブログを1000くらいもって、自分じゃ書かずに、ネット上の
あちこちからそのブログのテーマに合うような文章をかき集めて、文体を変え、
構成を変え、あたかも人間が、それも別々の人間が書いたかのようにしてしま
うというのもアイデアとしてはありますね。コンピュータにやらせるわけ。
でもって、Googleのアドセンスなりで広告を配信させて、金儲けに使うわけ。
そんなことを妄想していたら、つい、この前、聞いた話だと、アルバイトを
何人も雇ってブログを書かせて、アドセンスなりの広告や商品販売で大儲け人
も実際にいるらしいですね。そいつは、元締めをやっていて表には出ないけれ
ど、実際は何百もブログをもっているそうです。表に出ているのはバイトね。
いろいろ考えますねぇ。
おれも1000くらいブログをもつかな。
1000のブログを持つ男。\(^O^)/
プログラミングでのマッシュアップ ― 2006年11月19日 22時49分59秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
小説のマッシュアップのことを書いたので、ついでに。
プログラミングのほうのマッシュアップはいろいろみんなやってますよね。
どうしてもウェブブラウザ内でJavaScriptを使ってというのが多いけれど、
Javaでやる話だと、もう先月号になってしまったけれど、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000J10LQ8/showshotcorne-22/
ref=nosim
Software Design (ソフトウエア デザイン) 2006年 11月号
の特集「Javaでマッシュアップ&リミックス」は、なかなか楽しかったです。
勉強になりました。
個人的にはこの手の技術、他人のふんどしで相撲を取るわけだから、すぐで
きることだし、技術的にも何の競争力にならないんだけど、いま、Web2.0に引
っかかっているカモにウケてるから、必要ならやってもいいってくらいの感じ
ですね。\(^O^)/
以前、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873112931/showshotcorne-22/ref=nosim
Google Maps Hacks
の原書が出たときに、Google Mapsをちょっとやってみたりもしました。
で、思ったのは、これ、マッシュアップされる側じゃないと、ビジネス的に
は何のメリットもないこと。
企業のサービスで、たとえば、Google Mapsに依存しているのは大丈夫なの
かと思いますけどね。いまはタダだし、便利でいいけど、首までどっぷり浸か
って抜けられなくなったことを見計らってGoogleからライセンス料請求された
らどうするんだと思うよね。
我々の業界だと、MicrosoftとIntelがやった前例がありますからね。
アストロビスタが昔、なくなった某誌の連載で書いていたが、Microsoftと
Intelがやったのは、うちの材料使うとタコ焼きを安く作れるからどんどん作
ってくれと、安くタコ焼きの材料やらタコ焼きの鉄板やら焼き方のノウハウや
らをばらまきまくって、世界のハードメーカにせっせとWintel(Microsoft +
Intel)流のタコ焼き作りを広めて、みんなが足抜けできなくなったら、支配権
を握って、ばんばん金を取るようになったという世界だもんね。
週刊東洋経済2006/06/24号で、Web2.0の特集をやっていて、経済誌としては
よくまとまっているとは思ったが、論調としてGoogleをオープンな企業のよう
に扱っていたのは、おかしくないか。
WebサービスのAPIを公開してマッシュアップを促しているからというのがそ
の理由だろうが、これはねえ(笑)。たとえば、MicrosoftはWindowsのAPIを公
開しているが、Microsoftがオープンな企業だと思うのはよほどのマヌケでし
ょ? 同じ愚を犯していると思うけれどね。
こういう誤解というのは、梅田望夫「ウェブ進化論」のマーケ屋、営業トー
クに乗せられたバカの末路みたいなもんで、ミスリーディングでしょう。だか
ら、「ウェブ進化論」のような浅い営業トーク本は、扇動だけなので、社会に
とって害毒なんです。
オープンだというなら、地図情報のAPIは誰の所有物でもない形にして、標
準化されないとだめ。そしてGoogle Maps以外にその標準化されたAPIを実装し
た地図情報サービスが出てこないとだめ。そうしないと安心して使えないもん。
少なくとも企業の命運を握るようなビジネスでは不安ですよね。生命線を他社
に握られるわけだから。よほど相互の信頼があるか、契約で互いを縛るか。
Web2.0の世界などと新しい世界がやってきたかのように言い募っても、その辺
は変わらないもんね。
結局、Googleだって営利企業だし、囲い込みの世界であることには何の変わ
りもない。他のWeb2.0企業もそう。そこはちゃんと押さえてないとね。
囲い込みですごいと思ったのは、もう1年以上前に書いたことだけど、UPS
の囲い込み。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2005/09/27/89513
UPSってすごいね
にあります。
このとき、頭の悪いおれはやっと気づいた。ウェブのAPIって、リアルと結
びつかないと大したことないね。もう単にコンピュータやネットの世界だけの
プロトコルやAPIって、リアルと結びついたAPIに比べれば大した意味はない。
Google Mapsだって、地図というリアルと結びついているから意味があるし、
AmazonのAPIだってAmazonのデータベースよりアフィリエイトというリアルの
金儲けと結びついているから意味があるわけだしね。
でもって、先の週刊東洋経済で、梅田望夫が、はてなの取締役をやっててわ
かったけど、ウェブは儲からないなんてことをいってるの。そんなの当たり前
でしょ。
さっきも書いたように、はてなはマッシュアップする側であってマッシュア
ップされる側じゃないわけ。他人のふんどしで相撲を取ってるけど、他人にふ
んどしを貸し出す側じゃないわけ。
それで、マッシュアップでイカしたサービスができましたなんていっても、
ビジネスとして大した意味がないのは、当たり前すぎるほど当たり前に思うし、
たまたまGoogleなんかがふんどしをいまは無料で貸してくれてるからなんとか
なるけど、元々は借りてるもんだもんね。それでも儲からないんだったら、は
てなって会社としてはどうなの?と思うのもまた必然だと思うんだけどね。
マッシュアップって、ふんどしを貸す側に回らないとビジネスとしては意味
はほとんどないでしょ。しかも貸す側に回るには、貸さなくてもビジネスとし
て成り立つくらいのふんどしじゃないと、借りる気にもならないよね。それだ
けのふんどしをもってる奴だけが、さらにビジネスを伸ばして価値あるふんど
しにするために貸し出して子分、手下を増やして上納金のように吸い上げる仕
組みなんだから。
ちみたち、ヤクザがどう系列化していくかを勉強しなくちゃ。\(^O^)/
そんなこんなで、マッシュアップはおもちゃとしてささっと作る分にはとて
も便利だし、それでビジネスの足しになることもあるだろうけど、単にマッシ
ュアップする側じゃあね。
Google Newsは新聞をマッシュアップしてる側じゃないかという反論がある
かもしれないが、あれもGoogleの広告ビジネスというコアのふんどしに魅力を
付け足すためのマッシュアップだから意味があるんで、強力なコアがないと、
単にお遊びだもん。
話は飛ぶが、Google Newsをみると、感慨深いものがある。
約20年前、MITのメディアラボじゃ、未来の新聞がどうなるかをやっていた。
それは電子新聞でパーソナライズされた新聞。新聞社が新聞社の判断でレイア
ウトした新聞ではなくて、それぞれの個人の関心に合わせて、自分が関心があ
る分野の記事をコンピュータが自動的に1面トップにレイアウトしてくれるよ
うな新聞。
このプロジェクトのスポンサーを教えてくれたんだけど、朝日新聞なども金
を出していた。
メディアラボが描いた未来は、Google Newsの形で出現したけれど、これ、
朝日なんかは使われるほうで自分らがイニシアティブは取れない形でしょ。未
来の新聞をどう牛耳るかと考えていたスポンサー企業たちの思惑とは全然別。
そこが感慨深いですね。\(^O^)/
---
小説のマッシュアップのことを書いたので、ついでに。
プログラミングのほうのマッシュアップはいろいろみんなやってますよね。
どうしてもウェブブラウザ内でJavaScriptを使ってというのが多いけれど、
Javaでやる話だと、もう先月号になってしまったけれど、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000J10LQ8/showshotcorne-22/
ref=nosim
Software Design (ソフトウエア デザイン) 2006年 11月号
の特集「Javaでマッシュアップ&リミックス」は、なかなか楽しかったです。
勉強になりました。
個人的にはこの手の技術、他人のふんどしで相撲を取るわけだから、すぐで
きることだし、技術的にも何の競争力にならないんだけど、いま、Web2.0に引
っかかっているカモにウケてるから、必要ならやってもいいってくらいの感じ
ですね。\(^O^)/
以前、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873112931/showshotcorne-22/ref=nosim
Google Maps Hacks
の原書が出たときに、Google Mapsをちょっとやってみたりもしました。
で、思ったのは、これ、マッシュアップされる側じゃないと、ビジネス的に
は何のメリットもないこと。
企業のサービスで、たとえば、Google Mapsに依存しているのは大丈夫なの
かと思いますけどね。いまはタダだし、便利でいいけど、首までどっぷり浸か
って抜けられなくなったことを見計らってGoogleからライセンス料請求された
らどうするんだと思うよね。
我々の業界だと、MicrosoftとIntelがやった前例がありますからね。
アストロビスタが昔、なくなった某誌の連載で書いていたが、Microsoftと
Intelがやったのは、うちの材料使うとタコ焼きを安く作れるからどんどん作
ってくれと、安くタコ焼きの材料やらタコ焼きの鉄板やら焼き方のノウハウや
らをばらまきまくって、世界のハードメーカにせっせとWintel(Microsoft +
Intel)流のタコ焼き作りを広めて、みんなが足抜けできなくなったら、支配権
を握って、ばんばん金を取るようになったという世界だもんね。
週刊東洋経済2006/06/24号で、Web2.0の特集をやっていて、経済誌としては
よくまとまっているとは思ったが、論調としてGoogleをオープンな企業のよう
に扱っていたのは、おかしくないか。
WebサービスのAPIを公開してマッシュアップを促しているからというのがそ
の理由だろうが、これはねえ(笑)。たとえば、MicrosoftはWindowsのAPIを公
開しているが、Microsoftがオープンな企業だと思うのはよほどのマヌケでし
ょ? 同じ愚を犯していると思うけれどね。
こういう誤解というのは、梅田望夫「ウェブ進化論」のマーケ屋、営業トー
クに乗せられたバカの末路みたいなもんで、ミスリーディングでしょう。だか
ら、「ウェブ進化論」のような浅い営業トーク本は、扇動だけなので、社会に
とって害毒なんです。
オープンだというなら、地図情報のAPIは誰の所有物でもない形にして、標
準化されないとだめ。そしてGoogle Maps以外にその標準化されたAPIを実装し
た地図情報サービスが出てこないとだめ。そうしないと安心して使えないもん。
少なくとも企業の命運を握るようなビジネスでは不安ですよね。生命線を他社
に握られるわけだから。よほど相互の信頼があるか、契約で互いを縛るか。
Web2.0の世界などと新しい世界がやってきたかのように言い募っても、その辺
は変わらないもんね。
結局、Googleだって営利企業だし、囲い込みの世界であることには何の変わ
りもない。他のWeb2.0企業もそう。そこはちゃんと押さえてないとね。
囲い込みですごいと思ったのは、もう1年以上前に書いたことだけど、UPS
の囲い込み。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2005/09/27/89513
UPSってすごいね
にあります。
このとき、頭の悪いおれはやっと気づいた。ウェブのAPIって、リアルと結
びつかないと大したことないね。もう単にコンピュータやネットの世界だけの
プロトコルやAPIって、リアルと結びついたAPIに比べれば大した意味はない。
Google Mapsだって、地図というリアルと結びついているから意味があるし、
AmazonのAPIだってAmazonのデータベースよりアフィリエイトというリアルの
金儲けと結びついているから意味があるわけだしね。
でもって、先の週刊東洋経済で、梅田望夫が、はてなの取締役をやっててわ
かったけど、ウェブは儲からないなんてことをいってるの。そんなの当たり前
でしょ。
さっきも書いたように、はてなはマッシュアップする側であってマッシュア
ップされる側じゃないわけ。他人のふんどしで相撲を取ってるけど、他人にふ
んどしを貸し出す側じゃないわけ。
それで、マッシュアップでイカしたサービスができましたなんていっても、
ビジネスとして大した意味がないのは、当たり前すぎるほど当たり前に思うし、
たまたまGoogleなんかがふんどしをいまは無料で貸してくれてるからなんとか
なるけど、元々は借りてるもんだもんね。それでも儲からないんだったら、は
てなって会社としてはどうなの?と思うのもまた必然だと思うんだけどね。
マッシュアップって、ふんどしを貸す側に回らないとビジネスとしては意味
はほとんどないでしょ。しかも貸す側に回るには、貸さなくてもビジネスとし
て成り立つくらいのふんどしじゃないと、借りる気にもならないよね。それだ
けのふんどしをもってる奴だけが、さらにビジネスを伸ばして価値あるふんど
しにするために貸し出して子分、手下を増やして上納金のように吸い上げる仕
組みなんだから。
ちみたち、ヤクザがどう系列化していくかを勉強しなくちゃ。\(^O^)/
そんなこんなで、マッシュアップはおもちゃとしてささっと作る分にはとて
も便利だし、それでビジネスの足しになることもあるだろうけど、単にマッシ
ュアップする側じゃあね。
Google Newsは新聞をマッシュアップしてる側じゃないかという反論がある
かもしれないが、あれもGoogleの広告ビジネスというコアのふんどしに魅力を
付け足すためのマッシュアップだから意味があるんで、強力なコアがないと、
単にお遊びだもん。
話は飛ぶが、Google Newsをみると、感慨深いものがある。
約20年前、MITのメディアラボじゃ、未来の新聞がどうなるかをやっていた。
それは電子新聞でパーソナライズされた新聞。新聞社が新聞社の判断でレイア
ウトした新聞ではなくて、それぞれの個人の関心に合わせて、自分が関心があ
る分野の記事をコンピュータが自動的に1面トップにレイアウトしてくれるよ
うな新聞。
このプロジェクトのスポンサーを教えてくれたんだけど、朝日新聞なども金
を出していた。
メディアラボが描いた未来は、Google Newsの形で出現したけれど、これ、
朝日なんかは使われるほうで自分らがイニシアティブは取れない形でしょ。未
来の新聞をどう牛耳るかと考えていたスポンサー企業たちの思惑とは全然別。
そこが感慨深いですね。\(^O^)/
Lispセミナー ― 2006年11月19日 22時50分51秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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いよいよあさってから、Lispセミナーです。
http://jp.franz.com/base/seminar-2006-11-22.html
Lisp特別イベントのご案内
どういうわけか、講師の一人です(爆)。
もう21日は満員ですね。個人的には、20日もあるとは知らなかったので、20
日のAllegroGraph ハンズオン・チュートリアルは出たかったなと思ったけれ
ど、いまからじゃ、仕事の都合がつかないもんね。^^;
スラッシュドットジャパンで、古い人たちの集まりみたいなコメントがあっ
たけど、セミナー内容をみてもらうと、セマンティックWeb関係が多いし、オ
ントロジーの話もあって、古いどころか最先端なんですよ。
Lisp=古いという先入観でモノをみると間違う典型じゃないかな。
まあ、OWL/RDFといったセマンティックWebなんて、AIのフレームの表記法が
変わっただけじゃないか。古いネタだねといわれれば、それはそうなんですけ
ど、そこまでわかった発言とは思えないし。
なぜ、Lispはいつも新しいかというのが、ぼくの話す内容です。LL Ringの
ときと同じだけど、あのときは8分。今回は30分あるので、ほとんど話せな
かった部分がやっと話せます。\(^O^)/
---
いよいよあさってから、Lispセミナーです。
http://jp.franz.com/base/seminar-2006-11-22.html
Lisp特別イベントのご案内
どういうわけか、講師の一人です(爆)。
もう21日は満員ですね。個人的には、20日もあるとは知らなかったので、20
日のAllegroGraph ハンズオン・チュートリアルは出たかったなと思ったけれ
ど、いまからじゃ、仕事の都合がつかないもんね。^^;
スラッシュドットジャパンで、古い人たちの集まりみたいなコメントがあっ
たけど、セミナー内容をみてもらうと、セマンティックWeb関係が多いし、オ
ントロジーの話もあって、古いどころか最先端なんですよ。
Lisp=古いという先入観でモノをみると間違う典型じゃないかな。
まあ、OWL/RDFといったセマンティックWebなんて、AIのフレームの表記法が
変わっただけじゃないか。古いネタだねといわれれば、それはそうなんですけ
ど、そこまでわかった発言とは思えないし。
なぜ、Lispはいつも新しいかというのが、ぼくの話す内容です。LL Ringの
ときと同じだけど、あのときは8分。今回は30分あるので、ほとんど話せな
かった部分がやっと話せます。\(^O^)/
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