清水市代女流王将 VS あから2010 ― 2010年10月10日 01時18分32秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
いよいよ、明日、2010/10/11は、将棋の清水市代女流王将とコンピュータ将
棋の「あから2010」の対局です。
詳細については、
http://www.shogi.or.jp/topics/2010/08/vs2010.html
コンピュータからの挑戦 特別対局「清水市代女流王将vs.あから2010」につ
いて
をどうぞ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1008/02/news021.html
「プロ棋士並み」コンピュータ、女流王将に挑む 「機械学習」と「合議制」
組み合わせ
もどうぞ。
コンピュータのハードウェアは、東大のクラスタ。合計169台 676 coresだ
って。清水さんにとっては、ほんと厳しいよね、これ。
ソフトは、
-プレイヤー1:「激指」開発:激指開発チーム(鶴岡慶雅、横山大作)
-プレイヤー2:「GPS将棋」開発:チームGPS(田中哲朗、金子知適ほか)
-プレイヤー3:「Bonanza」開発:保木邦仁
-プレイヤー4:「YSS」開発:山下宏
による、合議制。
これまで何度か紹介したが、雑誌「将棋世界」には、「コンピュータは七冠
の夢をみるか」という連載がある。
「将棋世界」の最近の号は、並列化の話、合議制の話やコンピュータ将棋の
弱点もいろいろ載っていました。
並列化の話は、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003XVIOX8/showshotcorne-22/
将棋世界 2010年 09月号 [雑誌] [雑誌]
にありました。
単純に処理を振り分けるだけではすまない問題では、並列化はけっこう大変
な話。将棋も同様。
合議制で強くなる話は、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003ZWBFA4/showshotcorne-22/
将棋世界 2010年 10月号 [雑誌] [雑誌]
に詳しく載っていました。
昨年(2009年)の世界コンピュータ将棋選手権で、Bonanza(ボナンザ)という
コンピュータ将棋に革命を起こしたソフトを複数使って、数でちょっとずつ指
し手を変えて、合議をやる「文殊」というソフトが好成績を収めて、合議制が
注目されました。
「文殊」の合議制については、
http://homepage1.nifty.com/ta_ito/ito-lab/gougi/gougi.html
合議アルゴリズムと文殊のページ
をどうぞ。
合議も単純に多数決で多い指し手を指す単純多数決合議と、数は少なくても
一番高い評価値を出した手を指す楽観的合議があるそうです。
それから、同じソフトで合議をするより、棋風が違うソフトで合議をしたほ
うが勝率が高いそうです。
最初、合議をやることについて、プログラマの反発があったそうです。そん
な簡単なやり方で、強くなるわけがないと。でも、やってみたら、強くなった。
やってみたら、予想外に大きな鉱脈だったなんて、オレオレ詐欺と一緒だね。
\(^O^)/
合議で勝率が上がることや違うソフトを組み合わせて合議をするほうが、勝
率が上がる原因は、まだ究明中だそうです。ゲーム理論とか使っていろいろや
ってるのかもね。
「あから2010」の合議は、単純多数決合議でやると、10月号には載っていま
した。
単純多数決合議は、悪手を指さない傾向が出てくるそうで、一方、楽観的合
議は、好手を指す傾向が出てくるそうです。これは、直観的にはわかりますね。
単純多数決合議だと負けにくくなるし、楽観的合議だと華麗な勝ち方で圧勝
しやすい(逆にいうと惨敗もしやすい)のだと思いますね。楽観的合議だと、性
能がピーキー(peaky)なんでしょう。
アマの高段者レベルなら、楽観的合議制で華麗に圧勝できるかもしれないが、
清水市代女流王将が相手だから、そうはうまくいかないでしょう。それで、悪
手を指しにくく粘り強くなるであろう単純多数決合議を採用したんだと思いま
すね。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004354AUO/showshotcorne-22/
将棋世界 2010年 11月号 [雑誌] [雑誌]
は、この特別対局の見所など直前特集でした。コンピュータ将棋の弱点も解説
してありました。以前の号であった解説とはまた違った観点からの解説。
清水さん、特別に対策を立てているのかどうか。
序盤、定跡を外してうまく優位に立てればいいけれどね。定跡を外した力将
棋でもコンピュータがあまり間違わないなら大変だけどね。
清水さん、がんばれー!\(^O^)/
いずれ、人間はコンピュータにかなわなくなるだろうけれど、こういう研究
で人間の知性を研究することになるかは、また別の問題。つまり、飛行機を作
っても鳥の飛び方を研究・再現したことにはならないし(鳥の羽ばたきによる
飛行を再現したわけではない)、自動車を作っても動物の走り方を研究したこ
とにはならない。船や潜水艦も魚とは違うしね。科学的・工学的に人間の歩き
方を研究し、再現したといえるのは、2足歩行ロボットですよね。
だからといって、コンピュータ将棋のような研究が無駄になるわけではない。
人間は、鳥の飛び方とは、違う飛び方で空を飛べるようにしちゃったわけだか
ら。
人間の100メートル走やマラソンの世界と、自動車のF1のようなレースの世
界が分かれているように、いずれ、将棋も、人間の対局を観戦するのとコンピ
ュータの対局を観戦するのは、別の楽しみだと認知されていくでしょう。
人間と自動車が一緒に走ってどっちが速いかを競うのは、エンターテインメ
ントとして、とっくにナンセンスだもんね。
関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/09/28/5372850
「ヒクソン・グレイシー 無敗の法則」
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/09/15/3763998
将棋、森下卓九段の深い話
そうそう。鳥の飛び方で思い出した。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0760333920/showshotcorne-22/
Birds in Flight: The Art and Science of How Birds Fly [ハードカバー]
Carrol L. Henderson (著), Steve Adams (イラスト)
が売れていました。お買い上げありがとうございます。
これ、写真がきれいですね。
鳥は、恐竜が祖先だというのが定説ですが、最初に飛んだのは、どういう動
物だったのかな。それまでどんだけの動物が飛ぼうとして墜落死したのか。^^;
これでまた思い出したのが、現代の鳥につながる新鳥類の誕生は、従来の学
説とは違って、もっと前だったという説。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003YCYI5E/showshotcorne-22/
日経サイエンス 2010年 10月号 [雑誌] [雑誌]
に載っています。
概要は、
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/1010/201010_064.html
恐竜世界にいた鳥
G. ダイク
をどうぞ。
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いよいよ、明日、2010/10/11は、将棋の清水市代女流王将とコンピュータ将
棋の「あから2010」の対局です。
詳細については、
http://www.shogi.or.jp/topics/2010/08/vs2010.html
コンピュータからの挑戦 特別対局「清水市代女流王将vs.あから2010」につ
いて
をどうぞ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1008/02/news021.html
「プロ棋士並み」コンピュータ、女流王将に挑む 「機械学習」と「合議制」
組み合わせ
もどうぞ。
コンピュータのハードウェアは、東大のクラスタ。合計169台 676 coresだ
って。清水さんにとっては、ほんと厳しいよね、これ。
ソフトは、
-プレイヤー1:「激指」開発:激指開発チーム(鶴岡慶雅、横山大作)
-プレイヤー2:「GPS将棋」開発:チームGPS(田中哲朗、金子知適ほか)
-プレイヤー3:「Bonanza」開発:保木邦仁
-プレイヤー4:「YSS」開発:山下宏
による、合議制。
これまで何度か紹介したが、雑誌「将棋世界」には、「コンピュータは七冠
の夢をみるか」という連載がある。
「将棋世界」の最近の号は、並列化の話、合議制の話やコンピュータ将棋の
弱点もいろいろ載っていました。
並列化の話は、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003XVIOX8/showshotcorne-22/
将棋世界 2010年 09月号 [雑誌] [雑誌]
にありました。
単純に処理を振り分けるだけではすまない問題では、並列化はけっこう大変
な話。将棋も同様。
合議制で強くなる話は、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003ZWBFA4/showshotcorne-22/
将棋世界 2010年 10月号 [雑誌] [雑誌]
に詳しく載っていました。
昨年(2009年)の世界コンピュータ将棋選手権で、Bonanza(ボナンザ)という
コンピュータ将棋に革命を起こしたソフトを複数使って、数でちょっとずつ指
し手を変えて、合議をやる「文殊」というソフトが好成績を収めて、合議制が
注目されました。
「文殊」の合議制については、
http://homepage1.nifty.com/ta_ito/ito-lab/gougi/gougi.html
合議アルゴリズムと文殊のページ
をどうぞ。
合議も単純に多数決で多い指し手を指す単純多数決合議と、数は少なくても
一番高い評価値を出した手を指す楽観的合議があるそうです。
それから、同じソフトで合議をするより、棋風が違うソフトで合議をしたほ
うが勝率が高いそうです。
最初、合議をやることについて、プログラマの反発があったそうです。そん
な簡単なやり方で、強くなるわけがないと。でも、やってみたら、強くなった。
やってみたら、予想外に大きな鉱脈だったなんて、オレオレ詐欺と一緒だね。
\(^O^)/
合議で勝率が上がることや違うソフトを組み合わせて合議をするほうが、勝
率が上がる原因は、まだ究明中だそうです。ゲーム理論とか使っていろいろや
ってるのかもね。
「あから2010」の合議は、単純多数決合議でやると、10月号には載っていま
した。
単純多数決合議は、悪手を指さない傾向が出てくるそうで、一方、楽観的合
議は、好手を指す傾向が出てくるそうです。これは、直観的にはわかりますね。
単純多数決合議だと負けにくくなるし、楽観的合議だと華麗な勝ち方で圧勝
しやすい(逆にいうと惨敗もしやすい)のだと思いますね。楽観的合議だと、性
能がピーキー(peaky)なんでしょう。
アマの高段者レベルなら、楽観的合議制で華麗に圧勝できるかもしれないが、
清水市代女流王将が相手だから、そうはうまくいかないでしょう。それで、悪
手を指しにくく粘り強くなるであろう単純多数決合議を採用したんだと思いま
すね。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004354AUO/showshotcorne-22/
将棋世界 2010年 11月号 [雑誌] [雑誌]
は、この特別対局の見所など直前特集でした。コンピュータ将棋の弱点も解説
してありました。以前の号であった解説とはまた違った観点からの解説。
清水さん、特別に対策を立てているのかどうか。
序盤、定跡を外してうまく優位に立てればいいけれどね。定跡を外した力将
棋でもコンピュータがあまり間違わないなら大変だけどね。
清水さん、がんばれー!\(^O^)/
いずれ、人間はコンピュータにかなわなくなるだろうけれど、こういう研究
で人間の知性を研究することになるかは、また別の問題。つまり、飛行機を作
っても鳥の飛び方を研究・再現したことにはならないし(鳥の羽ばたきによる
飛行を再現したわけではない)、自動車を作っても動物の走り方を研究したこ
とにはならない。船や潜水艦も魚とは違うしね。科学的・工学的に人間の歩き
方を研究し、再現したといえるのは、2足歩行ロボットですよね。
だからといって、コンピュータ将棋のような研究が無駄になるわけではない。
人間は、鳥の飛び方とは、違う飛び方で空を飛べるようにしちゃったわけだか
ら。
人間の100メートル走やマラソンの世界と、自動車のF1のようなレースの世
界が分かれているように、いずれ、将棋も、人間の対局を観戦するのとコンピ
ュータの対局を観戦するのは、別の楽しみだと認知されていくでしょう。
人間と自動車が一緒に走ってどっちが速いかを競うのは、エンターテインメ
ントとして、とっくにナンセンスだもんね。
関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/09/28/5372850
「ヒクソン・グレイシー 無敗の法則」
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/09/15/3763998
将棋、森下卓九段の深い話
そうそう。鳥の飛び方で思い出した。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0760333920/showshotcorne-22/
Birds in Flight: The Art and Science of How Birds Fly [ハードカバー]
Carrol L. Henderson (著), Steve Adams (イラスト)
が売れていました。お買い上げありがとうございます。
これ、写真がきれいですね。
鳥は、恐竜が祖先だというのが定説ですが、最初に飛んだのは、どういう動
物だったのかな。それまでどんだけの動物が飛ぼうとして墜落死したのか。^^;
これでまた思い出したのが、現代の鳥につながる新鳥類の誕生は、従来の学
説とは違って、もっと前だったという説。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003YCYI5E/showshotcorne-22/
日経サイエンス 2010年 10月号 [雑誌] [雑誌]
に載っています。
概要は、
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/1010/201010_064.html
恐竜世界にいた鳥
G. ダイク
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_ ホットコーナーの舞台裏 - 2010年10月15日 10時41分42秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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時間がなくて書けなかったが、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/10/10/5394643
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時間がなくて書けなかったが、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2010/10/10/5394643
_ ホットコーナーの舞台裏 - 2012年12月23日 08時46分25秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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こんな本があった。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774153265/showshotcor
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こんな本があった。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774153265/showshotcor
_ ホットコーナー - 2016年04月07日 10時39分45秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
---
初代叡王の山崎隆之八段が、PONANZAと戦う、第1期電王戦。4月9日10日、今度の土日です。
http://www.shogi.or.jp/kisen/denou/
日本将棋連盟:
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初代叡王の山崎隆之八段が、PONANZAと戦う、第1期電王戦。4月9日10日、今度の土日です。
http://www.shogi.or.jp/kisen/denou/
日本将棋連盟:
_ ホットコーナー - 2016年05月15日 13時25分36秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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もう当日になっちゃった。
今日のNHKスペシャルは、将棋、羽生善治名人が人工知能(AI)を探る特集です。
http://www.nhk.or.jp/special/ai/
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もう当日になっちゃった。
今日のNHKスペシャルは、将棋、羽生善治名人が人工知能(AI)を探る特集です。
http://www.nhk.or.jp/special/ai/
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