Re: The LLVM Compiler Infrastructure ― 2007年10月13日 22時10分36秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/10/07/1840679
The LLVM Compiler Infrastructure
にお便り。ブログのほうではすでにコメントがついていて、それは公開しまし
たが、メールでもらったものは、時間がなくていまごろで、すみません。
olfaさんから。
--- ここから ---
中村様へ。
> 素晴らしいコンパイラ技術をもっていた富士通や日立は、その技術を若い
世
>代の技術者に伝承することなく捨てちゃったし、プロセッサもせいぜい日立
が
>SHでがんばってるくらいかな。
もったいないです。
昔々、OFORT77(日立の最適化FORTRANコンパイラ)のスーパーコンピュータ版を
使ってたらベクトル命令列が2個に分離して間にスカラー(汎用機)命令が入る
ので遅い部分がありました。
私「なんで1個にまとめてくれないのー」
77「だって、その計算式なら途中で負数になるかもしれないから
平方恨の例外チェックのためにスカラーで仕切り直すの」
私「その部分では負数にならないのに。
じゃあABS()で囲んで確実に正数にするから1個にしてね。」
77「なんだ、だったら例外の心配がないから1個にするね。」
私「わーい」
TSSの会話型コンパイラではなく、バッチで毎回JOB投入してました。
それでも当時はコンパイラと会話していた気になっていましたよ。
その後、転職してパソコンのコンパイル結果(MSのアセンブラのリスト)を見て
日立がパソコンのコンパイラ作ったら世界征服できると思っていました。
とっても残念です。
--- ここまで ---
日立のコンパイラは、次のメールに出てくる中田先生がやってらしたんです
よね。
また、ぼくが最初に就職した管理工学研究所の元社長、吉村さんから。
--- ここから ---
正三郎君:
今日の「乳の詫び状」に,
>日本はもうプロセッサの研究もコンパイラの研究も放棄してますもん。
とあります.学界も産業界も大勢は確かにそうなんですが,コンパイラについ
ては細々ながらCOINS プロジェクト
http://www.coins-project.org/index.html
というのがあって,かの中田育男先生がリーダーとなり電通大を拠点にして今
でも続けています.(K3も私の在任中に数年間お手伝いしました)
蛇足ながら,中田先生が70才を過ぎてまだ仕事として人が使うためのプログラ
ムを書いておられるのには,全く頭が下がります.
取り敢えずご参考まで.
--- ここまで ---
CONINSについては、以前
http://iiyu.asablo.jp/blog/2005/11/22/151472
Lisp特別イベントその2
で紹介しています。まだ、活動しているわけですね。
中田先生のコンパイラの本は、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4274130134/showshotcorne-22/
中田育男著「コンパイラ 新コンピュータサイエンス講座」(オーム社)
と
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254121393/showshotcorne-22/
中田育男著「コンパイラの構成と最適化」(朝倉書店)
があります。前者は、後者よりポイントを絞った解説ですが、後者は、前述の
http://iiyu.asablo.jp/blog/2005/11/22/151472
Lisp特別イベントその2
でも、紹介している通り、中田先生の集大成のような本で、みっちりみっちり
です。
2009/11/23 追記:
中田育男先生の「コンパイラの構成と最適化 第2版」が出ています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254121776/showshotcorne-22/
コンパイラの構成と最適化 (単行本)
中田 育男 (著)
詳しくは、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/11/23/4714067
中田育男著「コンパイラの構成と最適化 第2版」、タイガーブックも
をどうぞ。
ついでにいうと、コンパイラの定番本であるドラゴンブックこと、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781905854/showshotcorne-22/
A. V. エイホ、R. セシィ、J. D. ウルマン著、原田賢一訳「コンパイラ―原
理・技法・ツール」は、第1巻はあるけど、第2巻
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781905862/showshotcorne-22/
は、マーケットプレイスにしかないみたいですね。
なお、原書は、2nd Editionになっています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0321486811/showshotcorne-22/
Alfred V. Aho, Monica S. Lam, Ravi Sethi, Jeffrey D. Ullman著
「Compilers: Principles, Techniques, and Tools (2nd Edition)」
このドラゴンブックの最新刊。我が情報省のスパイからの情報によれば、い
ま、日本の某所で翻訳中だそうです。この報告が今年の4月。スパイによれば
信頼度30%らしいから、果たして、いつ、日本語版が出るかなあ。^^;
ドラゴンブック以外にも評判のよさげなものがあって、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1558603204/showshotcorne-22/
Steven S. Muchnick著Advanced Compiler Design and Implementation」
です。
これ、翻訳、出るんでしょうか。スパイからの情報求む。\(^O^)/
もう1つ、評判がよさげなのが、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1558602860/showshotcorne-22/
Randy Allen, Ken Kennedy著「Optimizing Compilers for Modern
Architectures: A Dependence-based Approach」
です。
これ、翻訳、出るんでしょうか。スパイからの情報求む。\(^O^)/
あの和田英一先生も、まだLispやHaskellなどでプログラムを書いてらっし
ゃるそうで、頭が下がります。生涯一プログラマというか、ほんとにプログラ
ミングが好きというより、呼吸や食事のように、ないと生きていけないんでし
ょうね。^^;
年を取っても現役という話では、将棋の加藤一二三九段が公式戦1000敗とい
う前人未到の大記録(これ皮肉でもなんでもなく金字塔です)を打ち立てたので、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000WC3IT6/showshotcorne-22/
将棋世界2007年11月号
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000VY19F0/showshotcorne-22/
近代将棋2007年11月号
も、この偉大なる1000敗を特集しています。
1940年1月1日生まれの67歳。現役プロ棋士54年目。神武以来の天才と称され、
史上最年少記録や最多記録を数々打ち立て、もちろん、名人などにもなった加
藤さんですが、1000敗もすごいが、2007/09/20現在で1261勝と勝ち越している
こともすごい。さらに、真に驚くべきことに、病気による欠場や不戦敗がただ
の一度もないこと。\(^O^)/
こっちは、その年まで生きているかどうかもわからんのに。\(^O^)/
---
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/10/07/1840679
The LLVM Compiler Infrastructure
にお便り。ブログのほうではすでにコメントがついていて、それは公開しまし
たが、メールでもらったものは、時間がなくていまごろで、すみません。
olfaさんから。
--- ここから ---
中村様へ。
> 素晴らしいコンパイラ技術をもっていた富士通や日立は、その技術を若い
世
>代の技術者に伝承することなく捨てちゃったし、プロセッサもせいぜい日立
が
>SHでがんばってるくらいかな。
もったいないです。
昔々、OFORT77(日立の最適化FORTRANコンパイラ)のスーパーコンピュータ版を
使ってたらベクトル命令列が2個に分離して間にスカラー(汎用機)命令が入る
ので遅い部分がありました。
私「なんで1個にまとめてくれないのー」
77「だって、その計算式なら途中で負数になるかもしれないから
平方恨の例外チェックのためにスカラーで仕切り直すの」
私「その部分では負数にならないのに。
じゃあABS()で囲んで確実に正数にするから1個にしてね。」
77「なんだ、だったら例外の心配がないから1個にするね。」
私「わーい」
TSSの会話型コンパイラではなく、バッチで毎回JOB投入してました。
それでも当時はコンパイラと会話していた気になっていましたよ。
その後、転職してパソコンのコンパイル結果(MSのアセンブラのリスト)を見て
日立がパソコンのコンパイラ作ったら世界征服できると思っていました。
とっても残念です。
--- ここまで ---
日立のコンパイラは、次のメールに出てくる中田先生がやってらしたんです
よね。
また、ぼくが最初に就職した管理工学研究所の元社長、吉村さんから。
--- ここから ---
正三郎君:
今日の「乳の詫び状」に,
>日本はもうプロセッサの研究もコンパイラの研究も放棄してますもん。
とあります.学界も産業界も大勢は確かにそうなんですが,コンパイラについ
ては細々ながらCOINS プロジェクト
http://www.coins-project.org/index.html
というのがあって,かの中田育男先生がリーダーとなり電通大を拠点にして今
でも続けています.(K3も私の在任中に数年間お手伝いしました)
蛇足ながら,中田先生が70才を過ぎてまだ仕事として人が使うためのプログラ
ムを書いておられるのには,全く頭が下がります.
取り敢えずご参考まで.
--- ここまで ---
CONINSについては、以前
http://iiyu.asablo.jp/blog/2005/11/22/151472
Lisp特別イベントその2
で紹介しています。まだ、活動しているわけですね。
中田先生のコンパイラの本は、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4274130134/showshotcorne-22/
中田育男著「コンパイラ 新コンピュータサイエンス講座」(オーム社)
と
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254121393/showshotcorne-22/
中田育男著「コンパイラの構成と最適化」(朝倉書店)
があります。前者は、後者よりポイントを絞った解説ですが、後者は、前述の
http://iiyu.asablo.jp/blog/2005/11/22/151472
Lisp特別イベントその2
でも、紹介している通り、中田先生の集大成のような本で、みっちりみっちり
です。
2009/11/23 追記:
中田育男先生の「コンパイラの構成と最適化 第2版」が出ています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254121776/showshotcorne-22/
コンパイラの構成と最適化 (単行本)
中田 育男 (著)
詳しくは、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/11/23/4714067
中田育男著「コンパイラの構成と最適化 第2版」、タイガーブックも
をどうぞ。
ついでにいうと、コンパイラの定番本であるドラゴンブックこと、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781905854/showshotcorne-22/
A. V. エイホ、R. セシィ、J. D. ウルマン著、原田賢一訳「コンパイラ―原
理・技法・ツール」は、第1巻はあるけど、第2巻
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781905862/showshotcorne-22/
は、マーケットプレイスにしかないみたいですね。
なお、原書は、2nd Editionになっています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0321486811/showshotcorne-22/
Alfred V. Aho, Monica S. Lam, Ravi Sethi, Jeffrey D. Ullman著
「Compilers: Principles, Techniques, and Tools (2nd Edition)」
このドラゴンブックの最新刊。我が情報省のスパイからの情報によれば、い
ま、日本の某所で翻訳中だそうです。この報告が今年の4月。スパイによれば
信頼度30%らしいから、果たして、いつ、日本語版が出るかなあ。^^;
ドラゴンブック以外にも評判のよさげなものがあって、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1558603204/showshotcorne-22/
Steven S. Muchnick著Advanced Compiler Design and Implementation」
です。
これ、翻訳、出るんでしょうか。スパイからの情報求む。\(^O^)/
もう1つ、評判がよさげなのが、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1558602860/showshotcorne-22/
Randy Allen, Ken Kennedy著「Optimizing Compilers for Modern
Architectures: A Dependence-based Approach」
です。
これ、翻訳、出るんでしょうか。スパイからの情報求む。\(^O^)/
あの和田英一先生も、まだLispやHaskellなどでプログラムを書いてらっし
ゃるそうで、頭が下がります。生涯一プログラマというか、ほんとにプログラ
ミングが好きというより、呼吸や食事のように、ないと生きていけないんでし
ょうね。^^;
年を取っても現役という話では、将棋の加藤一二三九段が公式戦1000敗とい
う前人未到の大記録(これ皮肉でもなんでもなく金字塔です)を打ち立てたので、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000WC3IT6/showshotcorne-22/
将棋世界2007年11月号
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000VY19F0/showshotcorne-22/
近代将棋2007年11月号
も、この偉大なる1000敗を特集しています。
1940年1月1日生まれの67歳。現役プロ棋士54年目。神武以来の天才と称され、
史上最年少記録や最多記録を数々打ち立て、もちろん、名人などにもなった加
藤さんですが、1000敗もすごいが、2007/09/20現在で1261勝と勝ち越している
こともすごい。さらに、真に驚くべきことに、病気による欠場や不戦敗がただ
の一度もないこと。\(^O^)/
こっちは、その年まで生きているかどうかもわからんのに。\(^O^)/
コメント
_ こいも ― 2007年10月20日 22時15分11秒
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_ ホットコーナーの舞台裏 - 2008年07月08日 10時15分46秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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日本のコンパイラの権威、中田先生の新刊が出てますね。まだ
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日本のコンパイラの権威、中田先生の新刊が出てますね。まだ
_ ホットコーナーの舞台裏 - 2009年08月30日 00時35分24秒
ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/07/13/4432699
Re: 新宿ジュンク堂で平積みさ
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http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/07/13/4432699
Re: 新宿ジュンク堂で平積みさ
_ ホットコーナーの舞台裏 - 2011年01月28日 04時48分27秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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全然注意を払ってなかったが、日本オリジナルのコンパイラ本もま
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全然注意を払ってなかったが、日本オリジナルのコンパイラ本もま
_ ホットコーナーの舞台裏 - 2013年11月25日 10時01分48秒
ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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お買い上げありがとうございます。
ひょっとして、中身も美少女
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お買い上げありがとうございます。
ひょっとして、中身も美少女
で、テーマが「千の負けになって」。
豊田さんの方は日本初の千三振記録ですね。