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VisiCalcは、世界初のスプレッドシートソフト(表計算ソフト)ではなかった!?2017年09月06日 02時29分26秒

ASAHIネット(http://asahi-net.jp )のjouwa/salonから。
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 もう3月の出来事だから、半年経っている。
 いつもながら、書くのが遅くてすみません。

 DOS時代、一世を風靡し、ぼくも愛用者だったVzエディタの作者であるc.mosさんのツイートを偶然見た。

https://twitter.com/c_mos/status/843793144944582656
--- ここから ---
そうは言っても、ExcelはともかくVisiCalcは人類史に残る発明だよw
4:55 - 2017年3月20日
--- ここまで ---

 発作的にツイートした。

https://twitter.com/shownakamura/status/843795349126832128
--- ここから ---
ほんとそう。ワープロ、データベース、プレゼンテーションはメインフレームやミニコンの時代にも類似物があったが、VisiCalcはパソコンならではの全くの新ジャンル。あれをApple Ⅱの少ないメモリで6502のアセンブラで作り上げたのは、天才の仕事、歴史に残る偉大な仕事。Shozaburo Nakamuraさんが追加
--- ここまで ---

 そうしたら、@fujitanozomu(fujita nozomu‏)さんから、こういう質問が来た。
 通知にも、いっぱい流れてくるので、これをみたのも、かなりの偶然。
https://twitter.com/fujitanozomu/status/844267452955475968
--- ここから ---
Wikipediaを見ると https://en.wikipedia.org/wiki/Spreadsheet#History … VisiCalc以前の表計算ソフトについての記述もありますが

> VisiCalcはパソコンならではの全くの新ジャンル。

なんですか?
12:20 - 2017年3月21日
--- ここまで ---

 以来、気になっていて、ゴールデンウィークの休みにちょっと調べた。
 書くまでに至らず、3歩歩いて忘れ、夏休みに思い出して、また調べた。
 また、3歩歩いて忘れたが、またまた思い出したので、今回、書く。

https://en.wikipedia.org/wiki/Spreadsheet#History
のうち、ぼくの考えでは、バッチ処理のものは、コンピュータ上の電子スプレッドシートとして、VisiCalcに先行したものとはいえない。
 注目すべきは、LANPAR。この存在は知りませんでした。

https://en.wikipedia.org/wiki/Spreadsheet#LANPAR_spreadsheet_compiler
LANPAR spreadsheet compiler

 LANPARが、VisiCalcのように、ユーザがインタラクティブに、自由にセルを編集できて、リアルタイムでデータがアップデートできるものなら、VisiCalcより先行するものと思える。調べたら、そうなのかどうか、微妙に思いました。
 だから、LANPARは、世界初の電子スプレッドシートかもしれないし、それなりにユーザ数はいたようだが、ジャンルを作ったとまでは言えないんじゃないかというのが、ぼくの現在の結論。

 ぼくが、微妙だなと思ったのは、あれこれ探した中で見つけた次のPDFの中に、紙に書いたスプレッドシートの設定メモみたいなものがあるでしょ。こういう形で、管理者が設定したものを、ユーザは使うだけなら、VisiCalc的ではないなあと。
 特にINPUTと書かれたセルがあるので、実行時にユーザが入力できるのは、INPUTと書かれたセルに限られていたのではないかと推測します。だとすると、ユーザが自由にあちこちのセルに式や値を入れられないわけで、ちょっとイメージが違うなあと思います。
 LANPAR spreadsheet compilerという言い方も、ひっかかるんです。
 設定メモみたいなものを、なんらかの形でコンピュータに入力して、コンパイルすると、設定通りに動くソフトが出来上がるようなイメージ。
 だから、VisiCalcのように、その場の思いつき、試行錯誤で、ひょいひょいあれこれ対話的に変更しながら、ユーザが望みの計算をするスプレッドシートを作っていくものではなかったように思えます。

https://www.renepardo.com/articles/spreadsheet.pdf
The World's First Electronic Spreadsheet “LANPAR” - Rene Pardo
 Rene Pardoは、LANPARの開発者。
--- ここから ---
In 1969 Rene K. Pardo and Remy Landau patented the LANguage for Programming Arrays at Random (LANPAR) spreadsheet compiler for budgeting within approximately 20 North American telecom corporations. LANPAR was a technical marvel that implemented a natural order recalculation algorithm (for auto updating values) and forward referencing (for calling values from other cells) — both of these features would eventually become standard across all spreadsheet applications. In 1979 Dan Bricklin and Bob Frankston released VisiCalc and the novel WYSIWYG interface of this application made it a runaway hit on the Apple II.
--- ここまで ---

 アルゴリズム関係で注目は、上記の
https://en.wikipedia.org/wiki/Spreadsheet#LANPAR_spreadsheet_compiler
にある
--- ここから ---
LANPAR innovated forward referencing/natural order calculation which didn't re-appear until Lotus 123 and Microsoft's MultiPlan Version 2.
--- ここまで ---
--- ここから ---
A key invention in the development of electronic spreadsheets was made by Rene K. Pardo and Remy Landau, who filed in 1970 U.S. Patent 4,398,249 on spreadsheet automatic natural order calculation algorithm.
--- ここまで ---

 それと、
https://rhizome.org/editorial/2010/apr/07/knowledge-works-in-search-of-a-spreadsheet-aesthet/
もしくは、
https://rhizome.org/editorial/2010/apr/07/knowledge-works-in-search-of-a-spreadsheet-aesthet/
Knowledge Work(s): In Search of a Spreadsheet Aesthetics
BY GREG J. SMITH
APR 07, 2010
にある
--- ここから ---
LANPAR was a technical marvel that implemented a natural order recalculation algorithm (for auto updating values) and forward referencing (for calling values from other cells)
--- ここまで ---

 自然な順序での再計算を搭載したのが、LANPARが最初というのは、初めて知りました。しかも、これ、特許になっていたんですね。
 VisiCalsも最初のMultiplanも、単純な行列順の再計算でした。LANPARを知らなかったぼくが知っていた範囲では、最初に自然な順での再計算をやったのが、Lotus 1-2-3でした。
 ぼくが、最初に勤めた管理工学研究所の吉村鐵太郎社長(故人)が、
「中村君。1-2-3って、無駄な再計算をしないんだってな」
と教えてくださった。これ、自然な順序による再計算のことだと思います。
 その後か、その前か、忘れたが、管理工学研究所は、Lotusの日本進出のため、Louts 1-2-3に日本語化や、松茸という名前の日本語入力フロントエンドプロセッサ(FEP)の松茸を提供することになり、Lotusの人たちが、西麻布の管理工学研究所に来たときのことは、拙著の電脳騒乱節などで書きました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/Lotus_1-2-3
https://ja.wikipedia.org/wiki/松_(ワープロ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/松_(ワープロ)#.E3.80.8C.E6.9D.BE.E8.8C.B8.E3.80.8D
松茸

 その他、関連資料。
http://history-computer.com/ModernComputer/Software/Visicalc.html
VisiCalc of Dan Bricklin and Bob Frankston

http://dssresources.com/history/sshistory.html
A Brief History of Spreadsheets
by D. J. Power
Editor, DSSResources.COM

http://dssresources.com/history/mattessichspreadsheet.htm
Spreadsheet:Its First Computerization (1961-1964)
By Richard Mattessich

https://www.linkedin.com/pulse/abbreviated-history-electronic-spreadsheets-how-long-have-bandy
An abbreviated history of electronic spreadsheets – How long have you used MS Excel?

 TEDにもあった。幸い日本語字幕付きのものがある。
https://www.ted.com/talks/dan_bricklin_meet_the_inventor_of_the_electronic_spreadsheet?language=ja
表計算ソフト誕生の話

 ヒッピーやっていても、MITに入れたり、Multicsのプロジェクトでバイトして、DECに就職できたり、さすが天才はすごいなあと、懐かしいなあの両方。

Multics関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/10/01/1830695
VMSが最初の仮想記憶OS?
http://iiyu.asablo.jp/blog/2012/02/17/6338286
第1回クラウド勉強会、クラウドコンピューティングの未来形、サーバレス・プログラミング、EXAGEN, Dripcast, Hadoop, Spark, Bagel, Lisp, Prolog, Java, Scala, AS/400, SLS(単一レベル記憶)

 ディスカッション(コメント)欄には、LANPARの開発者の一人、Rene K. Pardoが出てきて、LANPARこそ、最初のスプレッドシートだと書き込んでますね。それに対して、Dan Bricklinが答えています。
https://www.ted.com/talks/dan_bricklin_meet_the_inventor_of_the_electronic_spreadsheet/discussion?language=ja

http://www.bricklin.com/firstspreadsheetquestion.htm
Was VisiCalc the "first" spreadsheet?
It was the combination of many things including its "programming by example" user interface and its influence on others that made VisiCalc special.
Dan Bricklin's Web Site: www.bricklin.com

 「"programming by example" user interface」が、先に書いた、ユーザがあちこちのセルに自由に式やらを書けて、試行錯誤ができるユーザインターフェースのことだと思います。

 昔から、新しいプログラミング言語、OS環境、フレームワークなどを習得するには、簡単なものでいいから、スクリーンエディタとスプレッドシートを書いてみるといいと思っています。
 スクリーンエディタを作ると、ファイルIO、画面制御、編集バッファなどのメモリの管理、その他もろもろのデータ構造を、その言語でどう書けばいいのかわかるし、スプレッドシートは、それらに加えて、その言語では、式の解析をどう書けばいいのかわかるので。

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 ツイートしたと思うけど、ブログにも記録。
 この記事を見つけた数週間前、ちょうど、会社の若い衆に、Visicalc, Multiplan, Lotus 1-2-3や