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ナシーム・ニコラス・タレブ著「ブラック・スワン」、まもなく出版!2009年06月05日 10時02分16秒

ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
---
 ナシーム・ニコラス・タレブ著「ブラック・スワン」がもうすぐ出ますね。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478001251/showshotcorne-22/
ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質 (単行本)
ナシーム・ニコラス・タレブ (著), 望月 衛 (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478008884/showshotcorne-22/
ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質 (単行本)
ナシーム・ニコラス・タレブ (著), 望月 衛 (翻訳)

 「ブラック・スワン」のことは、これまでも何度か言及しています。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/10/28/3851846
Re: マンデルブロ「禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン」その2
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/11/11/3905833
クーリエ・ジャポン2008年12月号、佐賀のカチガラス(カササギ)
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/04/23/4260454
神永正博著「不透明な時代を見抜く「統計思考力」」
をどうぞ。

 ああ、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/06/13/3575167
ウォール街のランダム・ウォーカー
のことを書いたの、もう1年も前か。半年前かと思っていた。早いなあ。
 最後のところで、
--- ここから ---
 国際分散投資といっても、所詮、地球全体の経済発展に賭けるわけだろ。地
球文明という滅亡リスクの高いものに賭けるなんて、正気の沙汰じゃないぞ。
--- ここまで ---
というネタを書いてるけど、これはほんとなんですよ。
 インデックスファンドであろうが、どの投資法であろうが、地球の経済が今
後発展していく大前提があるわけ。それに賭けているわけ。50年後、100年後、
地球の文明・文化は栄え、経済は発展しているに違いないと。
 でも、環境問題、エネルギー問題、戦争、疫病などなど、何か全地球的な問
題が大きくなって、その前提が崩れれば、シオシオのパー(*1)。しかもそれが、
過去に例がないことや突発的なものだと、まったく予測不能。
 どれくらい予測不能かといえば、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/05/16/4307521
ベイズな予測、パターン認識と機械学習、ベイズ理論による統計的予測
で言及したベイズな予測だろうが、
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/04/23/4260454
神永正博著「不透明な時代を見抜く「統計思考力」」
で解説してあるであろう(買ったけど、積読状態なので想像)、データに基づい
た分析だろうが、予測不能というくらい予測不能。
 なぜなら、過去がないから。
 論理的な分析は、結局、過去に頼らざるを得ない。それがないんだから、予
測不能になっちゃう。これらの分析手法、推測手法は、そういう限界はある。
それをちゃんと知ってないとね。
 ひょっとして、そういうことも、ブラック・スワンには出てくるのかもね。
 経済学者、エコノミスト、アナリストなどという人たちが、経済、株、為替
などの予測をしてこうだと断言するのも、やってることは、次に述べる本題と
本質的には同じなんだよね。あんまり真に受けるのもねえ。

 さて、本題。
 過去がなくても予測ができるのは、おれのような超能力者かつ霊能力者だけ。
 未来を知りたい人は、おれのスイスの秘密口座に1億ドル、振り込むように。\(^O^)/
 じゃあ、3回のデノミ前のジンバブエドルで振り込みます。
 お願いだから、それだけは、やめて。

*1
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/06/03/4339627
金城哲夫、ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン
で書いた「怪獣ブースカ」の得意セリフ。

ドラゴンブック第2版が出ました!\(^O^)/2009年06月05日 10時04分02秒

ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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 かつてのコンパイラ本の定番中の定番。その表紙からドラゴンブックと呼ば
れたエイホ、ウルマンのコンパイラ本。
 その第2版の邦訳が出ましたね。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/478191229X/showshotcorne-22/
コンパイラ―原理・技法・ツール (Information & Computing) (単行本)
A.V. エイホ (著), R. セシィ (著), J.D. ウルマン (著), M.S. ラム (著),
Alfred V. Aho (原著), Jeffery D. Ullman (原著), Ravi Sethi (原著),
Monica S. Lam (原著), 原田 賢一 (翻訳)

 おれは、学生のころから、もう、コンパイラ本はいくつも買っているし、
当然、ドラゴンブックも初版はもっているので、いまさら買わないと思ったけ
れど、定額給付金が入っていたので、買うかも。^^;

 情報工学やコンピュータサイエンスの学科に行けば習うことだけど、若い人
は、本格的な言語処理系を作るんじゃなくても、言語理論(正規文法、演算子
順位文法や文脈自由文法など)は、やってたほうがいいですよ。
 おれのこれまでの仕事の中では、ちょっとした式の解析やXMLのパージング
やらなんやら何度も作ったけど、やっててよかったなあと思いましたもん。


関連:
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/02/29/2672473
注目のコンピュータサイエンス本
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/07/08/3615983
中田育男著「コンパイラの基盤技術と実践」
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/10/28/3851856
中田育男著「コンパイラの基盤技術と実践」その2
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/03/17/2768032
コンパイラ本
http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/04/11/3058782
宮本衛市(著)「はじめてのコンパイラ - 原理と実践」
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/02/23/4137093
Modern Compiler Implementation In ML, ペゾルドのThe Annotated Turing

西アフリカのモシ族の太鼓言葉。言語と音楽。サブリミナル・インパクト2009年06月05日 10時05分20秒

ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のtti/salon(筒井康隆会議室)からホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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 先日のNHK。「爆笑問題のニッポンの教養」は、文化人類学の巨人・川田順
造先生のところで、西アフリカのモシ族の太鼓言葉の話題。
 最初、トーキングドラムの話かと思ったら、もっと深い話だった。
 モシ族は文字を持たない。文明社会からみると、一見、遅れた世界にみえる
が、調べていくと、太鼓を叩いてコミュニケーションするという太鼓言葉を持
っていて、指先で微妙に太鼓の皮をミュートしたりして、文字によるコミュニ
ケーションより微妙なニュアンスさえ伝え得るそうです。
 つまり、文字を持つことで得たものも大きいが、文字を持つことで失ったも
のもまた大きいことを教えてくれる世界だそうです。
 面白かったのは、川田先生がモシ族の王朝年代記の研究に行ったときのこと。
 王朝年代記をやるというので、録音機材を持って行った。まず、太鼓を叩き
始めた。これはイントロであって、そのうち、王朝年代記の朗唱が始まるだろ
うと思って、テープを節約するために録音せずにいたら、30分くらい太鼓を
叩いて、もう終わっちゃった。あれ?と思って、訊くと、いま太鼓で延々やっ
たのが、王朝年代記だったと。
 太鼓で王朝年代記をしゃべっていたんです。\(^O^)/
 もう、筒井康隆「バブリング創世記」ですわ。
 楽器でセリフをしゃべって忠臣蔵をやる山下洋輔「ジャズ忠臣蔵」も真っ青
ですね。
 実在するんですね、こういう民族と太鼓言葉。ほんとに王朝年代記を太鼓で
延々しゃべるんですね。しかも、モシ族の遺産として実在し、代々伝えられて
きているんですね。
 あれ? でも、太鼓言葉の話、筒井さんか山下さんのエッセイか対談か何か
で読んだ気もしてきたぞ。
 まあ、いい、先に進もう。

 太鼓言葉は、言語と音楽の中間的な存在なんですね。
 爆笑問題の太田光も、いいこと言ってました。
 他人を励ますつもりで「がんばれ」と言っても、「もう、精一杯がんばって
いるのに、いまさら言うな」という否定的な受け取られ方をすることもあって、
言葉じゃ、応援したい感情が伝わらないこともある。そういうときに、「フレ
ー、フレー」と、言葉というより叫びに近い表現で、感情の伝えようとするけ
ど、あれも、言語と音楽の中間的な存在なんじゃないかと。
 それで、思い出したのが、今年の前半で読んだノンフィクションでは、一番、
インパクトがあった本、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480064605/showshotcorne-22/
サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書) (新書)
下條 信輔 (著)
に書いてあったこと。
 言語と音楽は、人類の歴史の中で、社会のコミュニケーション手段として、
共進化してきたのではないかという説。
 言葉は論理に訴えるのに便利なものだが、音楽は情動(感情)に訴えるのに便
利なもので、互いに影響し合って発達してきたのではないかと。
 ぼくが去年からよく書いている言い方をすれば、言葉は脳的(大脳的)なもの
だが、音楽は身体的(小脳的)なもの。どっちが欠けても人間としてまともじゃ
ない。
 サブリミナル・インパクトの前半では、印象的なエピソードがあった。
 紅白歌合戦だったかな。審査員になったある作家が、どうして、小説だと原
稿用紙何百枚も使わないと伝えられない感動を、音楽はたった数分で伝えられ
るのかと感嘆する話が出てきます。
 それは音楽が情動に訴えるからだろうと。
 ここからさらに、現代社会は、情動操作が広範囲に行なわれていると。
 たとえば、脳神経科学・認知神経科学の成果を応用し、大衆の情動に訴え、
操作することで、商品を売りまくろうとするニューロマーケティングの話や、
ワンフレーズや郵政民営化一本槍で大衆の情動に訴えて選挙に大勝した小泉純
一郎政権の話やら、いろいろ発展していくんですが。
 サブリミナル・インパクトの概要や目次は、
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480064608/
をどうぞ。このページにある著者からのメッセージ、
http://www.chikumashobo.co.jp/blog/pr_chikuma/entry/78/
ラッピング・ペーパー カルチャー/下條信輔
も面白いですね。

 ソニーのウォークマンに始まって、いまのAppleのiPodに至るまで、現代人
が音楽を常に身近に持ち歩いて聴きたがるのは、生活空間の文明化・都市化・
脳化によって身体性が失われている状態を、なんとか回復してバランスを取ろ
うとしているという見方もできるかもしれませんね。

参考:
http://www.nhk.or.jp/bakumon/previous/20090602.html
「爆笑問題のニッポンの教養」FILE073:「人類よ声を聴け」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/400600060X/showshotcorne-22/
無文字社会の歴史―西アフリカ・モシ族の事例を中心に (岩波現代文庫) (文庫)
川田 順造 (著)
http://iiyu.asablo.jp/blog/2009/03/09/4164002
下條信輔著「サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)」
http://www.azalai-japon.com/lexique/t.html
太鼓言葉
http://radiofly.to/wiki/?%A5%C8%A1%BC%A5%AD%A5%F3%A5%B0%A5%C9%A5%E9%A5%E0
トーキングドラム