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さよなら、さっちゃん。ほんとに、ありがとう2008年01月06日 20時25分15秒

ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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 最初に就職した管理工学研究所でお世話になった山田幸子さん(現在の姓は
柳平さん)が、2008の元旦にお亡くなりになりました。56歳(満55歳)です。
 昨日の朝聞きましたが、ショックで、もう、全然、やる気、生きる気、なく
なりましたね。何をやっても、紙を食ってるような虚しさ。

 さっちゃんは、明るくて楽しくて優しい女性でした。
 佐賀出身のさっちゃんは、就職で九州から上京したばかり、右も左もわから
ぬぼくの面倒をあれこれ見てくださいました。
 もう25年前ですね。4月1日の最初の正式出社日。午前9時に管理工学研
究所の西麻布分室があった西麻布のTSハウスに行ったら、あなた。1階の玄
関が閉まったまま。
 新入社員のぼくは、まだ鍵も持ってない。
 あれ? 日付を間違えたかと思って、呆然としていたら、さっちゃんが
「あらー、新入社員の中村さん? ごめーん。遅れて、すみませーん」
などと言いつつやってきて、玄関を開けてくれた。
 ぼくもさっちゃんも8Fに席があり、二人で8Fに上がったが、以後、誰も
出社して来ない。\(^O^)/
 とんでもないところに就職したなあと思いつつ、さっちゃんと雑談などもし
ながら時間をつぶしていたら、お昼ごろになってどやどや人がやって来た。
 聞くところによると、スキーに行っていて最後は会社で解散ということで、
会社へのおみやげやら置いたら、「お疲れー」などと言って、みんな、帰っち
ゃった。\(^O^)/
 以後、また、8Fは二人きり。
 ほんとに、とんでもないところに就職したなあと思いました。\(^O^)/
 以後、管理工学研究所のしきたり?などは、さっちゃんがいろいろと折りに
触れて教えてくださいました。

 そうそう、ちょうど4月1日の雑談のときかな。京王線聖蹟桜ヶ丘駅直結か
つ下の階がショッピングセンターになっているスクエアというマンションの売
り出し折り込み広告があって、ぼくは特急で隣の府中に住んでいたので、さっ
ちゃんが、
「ねえ、正ちゃん、正ちゃん。正ちゃん、このマンション、買えばいいのに」
など言って、
「そんな金ないよ」
などと答えた記憶がある。
 あ、そうじゃねえや。結婚するまでの1年弱、中野弥生町にいたんだもん。
きっと、府中に引っ越してからの会話だな。どっちにしろ、聖蹟桜ヶ丘のスク
エアはもう25年近く経つのね。

 あと、忘れようとしても思い出せない(Copyright (c) 鳳啓介)のが、麻布十
番商店街へのお使い。
 管理工学研究所では、おやつの買出しは新入社員の役目だった。西麻布から
麻布十番の商店街に買出しに行くのだ。
 目当ては、いまや超有名になって簡単に買えなくなった浪花屋の鯛焼きと、
豆源の揚げおかき(調べたら塩味は、塩おかきだね。もっぱら買っていたのは、
塩おかきのほうです。いまでは豆源もあちこちに出店しているが、当時は麻布
十番の本店しかなかったと思う。何より、その場で揚げたアツアツのおかきを
買えるのは、いまでも本店しかない)。
 西麻布から麻布十番商店街への道も店も知らないから、おれにとっては幼児
の初めてのお使いと一緒。\(^O^)/
 さっちゃんはおれにお金を渡すだけじゃなくて、簡単な地図やメモも書いて
くれて、それを頼りに、てくてく歩いて買いに行ったんだよね。
 そしたら、浪花屋も豆源も休み。\(^O^)/
 携帯電話などない時代だから、さっちゃんに電話して代わりに何か買って帰
るかどうか聞けるわけじゃないし、浪花屋や豆源だけではなく、商店街全体が
定休日模様。\(^O^)/
 日付は覚えてないけれど、曜日はいまでも覚えている。火曜日だったんだよ。
 おれ、出かける前に、さっちゃんに確認したんだよ。
「まさか、定休日ってことはないよね」
「ないない。大丈夫よ、正ちゃん。男ならドーンと行け」
 それで行ったら、休みだもんね。\(^O^)/

 初めて麻布十番商店街に来て、何も買って帰らないのはくやしいから、定休
日でシャッターを下ろした商店の前にあった露店で売っていた、プラスチック
製のハンマーで、頭の部分がジャバラになっていて叩くとピコピコ鳴るものを
買って帰った。
 あれ以来しばらく、仕事で行き詰ると、アイデアが出ないかなと思って、ピ
コピコ、自分の頭叩いていたもんね。

 おやつを買えずに帰ってきて、さっちゃんに
「さっちゃんの嘘つき。休みだったよ」
と文句を言ったら、さっちゃん、あわてず、騒がず、
「えーっ、そうだった? ごめーん、正ちゃん。ごめんねー、悪かったわね。
でも、まあ、そういうこともあるわよ。男がそんなことイチイチ気にしてたら、
大成しないよー。男ならドーンと構えてろって」\(^O^)/

 ぼくが管理工学研究所を辞めてからは、1度か2度スキーか何かの集まりで
お会いしたかどうかくらいで、すっかり疎遠になってしまったが、いま、思い
出しても、さすが、さっちゃんだなあと思う。
 佐賀のがばいばあちゃんと同じタイプだったのかも。

 そんなこんなも、もう、すべていい思い出。
 もう、二度と作れない思い出。
 あの頃、さっちゃんの明るさ、元気にどれほど救われ、励まされたことか。
 さっちゃん、ありがとう。
 ほんとにありがとうございました。
 ほんとくやしいよ。ほんとさびしいよ。
 闘病生活も長かったと聞いた。ぼくは一度もお見舞いに行かずじまい。ごめ
んね、さっちゃん。
 今回、通夜、告別式も欠席させてもらった。
 亡くなったと聞いたとき、なんか訳がわからなくなってもう行こうという気
がなくなっちゃった。なにより、さっちゃんの死に顔なんか見たくない。もう、
あの頃のままでいてほしい。
 ごめんね、さっちゃん。許してね。
 さよなら、さっちゃん。
 どうか、安らかに。