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現代における作家とは何か2007年01月01日 02時30分05秒

ASAHIネット(http://www.asahi-net.or.jp)のjouwa/salonからホットコーナー(http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/ )に転載したものから。
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 遅くなったが、2006年9月23日に早稲田大学井深大記念ホールで行なわれた
http://www.japanpen.or.jp/katsudou/event/060923.html
「日本ペンクラブ・言論表現委員会 シンポジウム 現代における作家とは何
か-売れなければ作家じゃないのか?-」
の報告を簡単に。すでに3ヵ月以上経ち、あやふやな記憶なので発言など間違
いがあるかもしれませんが、ご容赦を。

 冒頭、ノンフィクション作家溝口敦氏への暴力事件に関して、溝口氏自身が
現状とこれから語り、言論封殺を許さない社会であるべきこと、今後裁判で暴
力団の使用者責任を問いたいことが語られた。この辺に関しては、あとで書く。
 大まかな内容は、
http://d.hatena.ne.jp/flow2005/20060923
筒井康隆氏についての…
を参照。このサイトのすごさは驚異的。なにしろ、筒井さん自身が、「おれの
知らないおれのスケジュールが載っている」などといってるほどですからね。

 溝口氏への暴力事件に関してコーディネーターの猪瀬直樹氏が「作家は社会
における炭鉱のカナリアである」といういわゆる「炭鉱のカナリア論」を紹介。
 改めて、梅田望夫「ウェブ進化論」は、社会にとって害毒のほうが大きいと
思ったね。警告を発するカナリアどころか、大丈夫大丈夫といって炭鉱夫全員
死亡への先導役・扇動役だもんね。楽観しすぎ。必要なのは、健全な楽観と健
全な悲観のバランス。

 「現代における作家とは何か」の副題が「売れなければ作家じゃないのか?」
だったために、売れる売れないの話に終始。しかもなかなか話が噛み合わず、
せっかく冒頭で、猪瀬氏が「炭鉱のカナリア論」をいったのに、ぼくが期待し
た方向には行きませんでした。
 ぼくは、現代における作家に大いなる不満があるとしたら、急速な情報化
(IT化/ICT化)の現代・近未来的な意味をあまり語ってくれないこと。SF作家は
その辺は作品にしているけれど、あまりに極端な世界なので一般にはなかなか
浸透してないと思うのね。
 西垣通氏が参加するというので、ぼくはその辺を一番期待して聴きに行った
が、西垣氏は、「「ウェブ2.0って何ですか?」とか、ウェブ2.0のことをいや
になるほど質問されてうんざりなので、今日はもうそういう話じゃなくて文学
の話がしたい」ということだったし、発言も少なくて残念でした。
 後日、筒井さんと話す機会があって、このときの話題が出ましたが、西垣さ
んにはもっと話してほしかったと筒井さんもおっしゃっていました。結局、い
まの作家は急速な情報化(IT化/ICT化)が社会にとってどういう意味をもってい
るかわからないから、西垣さんのように技術と思想と両方わかるような人がも
っと発言してほしいという、ぼくと同じ考えでした。

 藤原伊織氏は、ガン闘病中にもかかわらず、体調が悪くて声が出ませんので
すみませんなどといいつつ、非常に熱く語り続けて、感動的でした。
 どの分野でもそうだろうけど、作家も下積みで鍛えられないと売れてからは
コンスタントにいい作品が量産できないという話もありました。藤原氏は、ち
ょろっと書くと必ず各種文学賞の最終選考に残るので、そんなに苦労してない
から、いま逆に書けない。浅田次郎氏などは下積みで非常に苦労したから、い
ま量産がきくし、しかも水準が高い作品を連発できるという話でした。
 筒井ファンには常識ですが、筒井氏も書けども書けども載せてもらえず、デ
ビューから10年食えなかった。スーパージェッターのあれこれでお金が入っ
てやっと上京、結婚できたという話もありました。
 関連して、会場から「量産すると文章が荒れるのでは?」などという質問が
あって、作家からの答もうまく噛み合ってない気がした。
 おれにいわせると簡単で、量産して文章が荒れて水準以下の作品しか書けな
いようであれば、プロの作家としては食っていけなくなるということ。どの分
野のプロでもそうだけど、プロは水準以上のことを長年やり続けられるからプ
ロなんですよね。
 一番わかりやすい勝負の世界だと、アマチュアがラッキーでプロに勝つこと
はあっても、何度もやればプロが絶対勝つ。逆に何度もプロに勝ち続けるアマ
チュアだったら、もうプロレベルなんですよ。

 新潮社の石井昴氏は、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106100037/showshotcorne-22/ref=nosim
養老孟司著「バカの壁」

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106101416/showshotcorne-22/ref=nosim
藤原正彦著「国家の品格」
の仕掛け人で大ヒットメーカー。
 新潮社のビルは、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/410211601X/showshotcorne-22/ref=nosim
エミール・ゾラ著「ナナ」
が売れまくって建てたビルだから、社内では「ナナビル」と呼ばれているそう
です。
 で、「バカの壁」が売れまくった。果たして次の新ビルの名前は「バカビル」
なのか、社内で困っているそうです。\(^O^)/
 ところで、いま、「ナナ」といえば、コミックスと映画が大ヒットの
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4088567072/showshotcorne-22/ref=nosim
矢沢あい「NANA」
であって、特に若い世代で、ゾラを想像する人なんていないでしょ。それくら
い「ナナ」といった場合、ジェネレーションギャップがありますよね。アニメ
の「パーマン」の主題歌が違うといって驚いたことがあるけれど、それよりす
ごいギャップですね。
 筒井さんから、たしかにいまの読者は昔より教養というかそういう面ではレ
ベルは下がっている、「ナナ」のころは、娯楽も少なかったこともあるだろう
が、八百屋のおばちゃん、魚屋のおじちゃんという庶民が、「ナナ」を買いに
行列を作るほどだったという話もありました。

 印象的だったのは、猪瀬直樹氏が、テレビだと尊大で偉そうにしているのに、
筒井さんにものすごく気を遣っていて、へえと思いましたね。
 禁煙の井深大ホールで、今日だけ特別にということで、「筒井さん、そろそ
ろニコチン補充の時間にしませんか」などという感じで休みを取ったりね。

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